高知県漁業協同組合 清水統括支所

高知地区地域水産業再生委員会 清水部会

農林水産大臣賞 受賞!
全ての漁法で改善!土佐清水での浜再生!

2017年度に創設された浜プラン優良事例表彰において、栄えある第1回目の農林水産大臣賞を受賞した高知地区地域水産業再生委員会清水部会(高知県漁協 清水統括支所)。安全安心、高鮮度なブランド漁『土佐の清水さば』の取組みをはじめ、浜の活性化に向けて行われた取組みをご紹介!

目次

漁業とともに歩んできた地、土佐清水

江戸時代、捕鯨船の船員であり、のちに日米の和親に貢献することになったジョン万次郎。彼の銅像は、高知県の最南端、土佐清水市にある足摺(あしずり)岬で太平洋を眺めるように設けられている。「足を引きずる岬」という妙な地名の由来は、一説では、鎌倉中期の小説で「天狗が蹉跎(さだ)して逃げた」と書かれていたことが始まりで、足を引きずることを意味する「蹉跎」が分かりにくいことから、そのまま「足摺」となったと言われている。(出典:『日本の地名の意外な理由』 PHP研究所出版)

ジョン万次郎は捕鯨船に乗る前には、アジ・サバ漁船の船員としても働いていたそうで、多くの民にとって漁業は生活の一部になっていたに違いない。

注目を集める土佐清水のブランド魚、「土佐の清水さば」

足摺岬の周辺は、黒潮が流れ、アジ、メジカ(マルソウダ)、ブリ、イサキ、アオダイ、そしてカツオなど多くの魚種に恵まる好漁場だ。この地の漁業を担う高知県漁業協同組合 清水統括支所は、管内の1,600人近い組合員で支えられ、年間の水揚量は5,000トンにもなる。ひき縄漁や大型定置網漁、立縄漁など様々な漁法の漁業が営まれているが、水揚げの半分以上が釣りによってまかなわれている。

中でも、近年ブランド魚として注目を集めるのが、立縄漁で獲られるゴマサバ「土佐の清水さば」だ。ゴマサバは一般的には足が早く刺身など生食には不向きで、焼き魚や煮付けなど調理用の食材とされるのが普通だ。しかし「土佐の清水さば」は、独自の工夫と努力により、刺身でもおいしくいただける鮮度の高いゴマサバを地元はもちろん、首都圏など大消費地にも出荷することに成功した。

一匹一匹釣り上げられるゴマサバ

ブランド化を目指して「土佐の清水さば」が商標登録されたのは2000年と20年近くも前のことだ。それから一定の評価を得るまでには紆余曲折があった。

土佐清水のゴマサバ漁は、足摺岬から2~3時間行った沖を漁場として、立縄漁で行われる。サバが生息する水深150mほどの海中に届かせるため、針が付いたテグスを海面から降し、一本釣りされるのが特徴だ。群れで泳ぐサバば、通常まき網などで大量かつ効率的に漁獲されており、土佐清水のように一匹ずつ釣り上げるのは分が悪いように感じられる。だがこれは、「土佐の清水さば」がブランド魚として言われる所以でもある欠かせない工程だ。

味に影響を及ぼす大敵、ストレスを除去

実は大きな網で魚を一網打尽にして流し込む用に水揚げする方法は、効率的である一方、網や魚同士でぶつかり合って傷がついてしまうだけでなく、魚に極度のストレスがかかり、味に大きな影響をもたらすと言われている。

一方清水さばは、一匹一匹釣り上げられ、一切手で触れることなく、船の冷却水槽(シークーラー)で泳がせて持ち帰る。少しでも魚にストレスを感じさせないための工夫だ。

持ち帰ったサバは「鮮魚」と「活魚」に分けられる。「鮮魚」は海水氷で冷やして水揚げし、市場でセリにかけて仲買人を通じて小売店や大手量販店に出荷されるという一般的なルートをたどる。だが「活魚」にはさらなる工夫が施されている。

完全ストレスフリーなサバを目指して

「活魚」のサバは、やはり手を触れずに、網ですくって漁協に設置している活魚槽へと大急ぎで移される(通称「サバダッシュ」)。活魚槽は魚の生息に適した水温に合わされており、ここで1~2日間泳がせ、排泄物とそれまでにかかったストレスを取り除く。急いで出荷に回すのではなく、魚の味に影響を及しかねないストレスを完全に抜き取るためだ。

船上の生簀や漁協の活魚槽の一部には、ファインバブル発生装置が設置されている。ファインバブルとは100マイクロメート以下のきめの細かい気泡のことで、水中での抵抗が少なく海水に入れることで通常以上の酸素量を持たせることが可能だ。土佐清水では、当装置によって収容尾数が増える一方、死魚が減少するなど、安定した蓄養につながった。

「土佐の清水さば」には、こうした魚の最もよい味を引き出すための工夫が丁寧に施されている。

首都圏へのさば生食提供に向けて

努力は魚そのものに関わることだけではない。いかに早く魚を食卓に届けるか、「土佐の清水さば」を語るには流通の工夫に触れる必要がある。

ゴマサバ漁は夜中2:00頃から行われ、朝の8:00頃に水揚げし、1~2日間蓄養する。その後、より高い鮮度で提供するため、漁協職員が活締め、血抜き、神経締め処理を施す。通常の陸送出荷のスケジュールであれば、水揚げ翌日の15:00に〆てから発送、都市圏に届くのはさらに1日かかって翌々日の14:00頃だ。東京や大阪などで清水さばが楽しめるのは、現地で〆てから丸一日たったものになる。

だが、2015年から開始した飛行機当日便では、早朝2:00から約3時間かけて漁協職員が活締めなどを行い5:00に発送、当日16:00には首都圏等の飲食店に到着する。早朝作業の負担は大きいものの、地元で食すのと同じ鮮度で清水さばの生食が味わえるため、首都圏では大変喜ばれている。

取引拡大の成果と、新たな課題。

「土佐の清水さば」は2000年に商標登録して以来、シーフードショーや各種商談会に参加し、順次その取引を拡大してきた。通常よりも高い値段ではあるが、手間をかけた分の味の違いは明らかで、年間取扱本数も徐々に増加した。飛行機当日便や活魚車の活用をはじめた近年は飛躍的に伸び、約35,000本(2014年)⇒約62,000本(2017年)に増加した。

だが、課題もあった。それは漁師の減少だ。2011年には、このゴマサバ立縄漁は75人の漁師によって支えられていたが、2016年には33人まで減少した。伴って水揚量も低下し、約680トンから230トンにまで落ち込んだ。
漁師の高齢化も減少要因ではあるが、漁師の負担になっていたのは漁そのものよりも、帰港後に行う漁具の修繕や作製作業だった。

漁師OBの力を借り漁具作製作業を軽減

さばの立縄漁は、夜中2:00から漁に出て8時頃に帰港する。しかし、漁具修繕や作製にかかる作業は漁の倍近くの時間を要しており、作業が遅い場合には20:00頃にまでかかることもあった。

そこで2015年から取り組んだのが、引退している漁師OBへの漁具作製委託だ。現役漁師が必要なパーツを提供し、漁師OBが漁具を作製しレンタルするという至ってシンプルな仕組みだが、初年度で700本分の縄が供給され、漁師たちの負担軽減や出漁回数増加につながっている。今後、更なる利用の増加が期待されている。

なお、漁協ではこのほかにも行政と連携して新たな担い手確保に向けた支援事業に取り組んでおり、これまで約20名の「独立」につなげている。

全ての漁法で改善を進める!

高知県漁協 清水統括支所は、「土佐の清水さば」の取組だけでなく、その他の漁法でも「改善」に積極的に取組んでいる。
例えば、香りが濃厚な「宗田節」の原料を獲るメジカ漁では、土曜日開市による水揚量増加や漁場探索船による操業効率化に取り組んだ。また、来遊が不安定になっているメジカの魚価の乱高下を防ぐため、漁協が大漁時に買付と冷凍保管をすることで、加工業者への原魚安定供給につなげている。
ひき縄漁では、より冷却速度が速く傷がつきにくいシャーベット状の氷「スラリーアイス」を活用、魚価単価の向上につなげた。また大型定置網漁では、サワラやシマアジなど高級魚の神経〆を施し「船上活〆」タグを付けて、ブランド化を目指している。
このように、どの漁法においても「改善」を進め総合的にレベルの高い取組を行っていることが当支所の取組みの大きな特徴だ。

生産から販売までの課題解決に取り組む

清水統括支所は、最寄りの鉄道駅まで車で約1時間、高速ICまで約2時間という地に位置する(高知市内まで140km)。農地は限られるため、地域の主産業は漁業となり、漁協がその中心的な役割を担っている。
このようななか、当支所の取組みは、所得向上のみならず、生産から流通・販売に至るまでの課題解決に取り組む総合性や、地域全体の活性化や周辺産業への貢献などが高く評価され、農林水産大臣賞を受賞するに至った。

当支所では「漁業が元気になれば、浜が活気づき再生につながる。」という意識が強く、今日の成果は「日々の業務のうちできることから少しでも改善しよう。」と日々取組を積み上げてきた結果といえよう。
取組のなかには、当初漁業者からの反対がありスムーズに進まなかったものもあったようだ。しかし、職員が信念をもって取組し続けた結果、次第に成果が生まれ、地域社会の活性化につながった。当支所は、今後もチャレンジを続けていく。

<お知らせ>高鮮度「土佐の清水さば」!

ストレスを徹底除去し、刺身で食べられるほど高い鮮度を実現した「土佐の清水さば」。

脂ののった本来のサバの味を楽しみたいという方、ご注文を検討されたい方は、こちらから詳細をご確認ください。

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