鳥取県漁業協同組合、田後漁業協同組合

岩美町地域水産業再生委員会

高齢化地域に漁村カフェ
女性が輝く漁村づくり!

鳥取県漁協網代港支所女性部が運営する「あじろカフェなだばた」、田後漁協女性部が担う水産加工品など、女性による取組が地域活性化につながっている岩美町地域水産業再生委員会。
今回は、2018年度浜の活力再生プラン優良事例表彰にて全国共済水産業協同組合連合会会長賞を受賞した、当地区の取組をご紹介!

目次

自然に恵まれた岩美町

岩美町は日本海に面する東西およそ15キロメートルのリアス式海岸を有しており、世界ジオパークネットワークに加盟した「山陰海岸ジオパーク」の一部でもある。長年、日本海の荒波と風雪によって浸食された断崖絶壁、洞門、洞窟、奇岩の中に白砂青松の渚が点在する風光明媚な景勝地であり、近年海水浴と併せてシュノーケリングやシーカヤックなどのマリンスポーツなども人気だ。

その岩美町の基幹産業である漁業を支えるのが、「網代(あじろ)漁港」を有する網代地区と「田後(たじり)漁港」を有する田後地区だ。当地区には漁村が4つ(網代、田後、浦富、東)あり、田後漁業協同組合及び鳥取県漁業協同組合(網代港支所、浦富支所、東支所)が所在している(以下、前者を「JF田後」、後者を「JF鳥取」という)。漁業の中核をなすのは沖合底びき網漁業で、主に松葉がにやアカガレイ等を漁獲しており、その水揚量は年間約5,000トン(約30億円)だ。

山陰海岸ジオパークの「千貫松島」、沖合底曳き網漁船、松葉がに

岩美町は女性部の活動が盛ん

県内の漁協女性部は1960年代に各浜で発足し、最盛期(1990年)は14漁協で組織され、部員数は1,425人だった。その後、漁協女性部は高齢化、部員の減少、漁協合併に伴い、現在は4漁協・支所、約205人にまで減少している。
その中にあってJF鳥取網代港支所の女性部は現在、部員数が82人と県内最多で、活動も盛んな女性部だ。JF田後の女性部も網代港支所女性部に次ぐ規模で活動している。

当JF鳥取網代港支所の女性部は長年にわたり、地元の魚を利用した料理教室等、魚食普及活動に精力的に取り組んできた。その魚食普及活動を活用し、地域の活性化にも取り組んでいる。
岩美地区は、レジャーやアニメの聖地として若年層の観光客が増加している一方、当地区に休憩・飲食スペースが少なく、観光客の滞在時間が短いことが課題となっていた。網代港支所女性部は、この課題を解決し、あわせて高齢化の進む当地区の地域活性化を図るため、網代港支所女性部の既存施設を活用した休憩、飲食スペースの創出に取り組んだ。

地元中学校で網代港支所女性部が魚のさばき方教室を実施、地元のイベント(板ワカメフェス)にて網代港支所女性部が食べ物を販売

女性部が運営する「あじろカフェなだばた」

JF鳥取 網代港支所の女性部はこれまでの魚食普及活動の経験を活かし、観光客に漁村ならではの魚料理を提供する漁村レストランを開設した。場所は、売上が減少傾向にある販売店舗「女性部の店」の空きスペースだ。

当女性部はレストラン開設に向けて、県内外の魚食レストランの視察、料理研究家との勉強会を実施した後、鳥取県と日本財団の事業を活用し、2017年4月11日に漁村カフェ「あじろカフェなだばた」をオープンした。「なだばた」は、地元特有の言葉で「みんなが集まる場所」という意味だ。
現在は、親がに丼、地魚フライ定食などを提供しており、観光客の来店も増加している。

親がに丼、地魚フライ定食

地元民にも役立つカフェに

「あじろカフェなだばた」は、地産地消の役目のみならず、地元の人々の交流の場としての機能も備えている。
独り暮らしのお年寄り向けの弁当配達サービスや、この漁村カフェと介護・認知症予防を推進する施設、岩美病院の3拠点を接続する映像コミュニケーションの仕組みが構築されている。医療機関への移動が困難な人でも気軽に健康相談ができ、病院側からも漁村カフェへ向けて映像配信ができるようになっている。
このような仕組みづくりにより、高齢者が中山間地域で安心して暮らすことのできるよう一役買った。

あじろカフェなだばた「あったかハートサロン」

女性のアイデアが詰まった商品開発

漁村カフェのほか、当地区では道の駅「きなんせ岩美」に運営会社直営の鮮魚店を整備し、地元産物のよさを積極的にPRする道の駅の特性を活かした地元の魚介類(鮮魚、水産加工品等)を販売する取組を開始した。岩美町産高鮮度魚及びそれを原料にした岩美伝統の水産加工品や新商品を、地域ブランドとして強く発信している。そこで販売される加工品もまた、女性部によるものだ。

この取組はJF田後の女性部が担っており、当地区の伝統的な加工品「するめ糀漬け」等は供給が追い付かないほどだ。また、料理研究家監修のもとで、新たな地魚料理の商品化にも挑戦。その結果、2016年度には「岩美イケイケ魚(フィッシュ)」(ハタハタの南蛮漬け・唐揚げ・甘からだれ等)が完成した。忙しい毎日の家事を担う女性ならではの目線で開発に取り組み鮮度の良い原魚を調理し真空パックで冷凍し、袋をあけて解凍するだけで食べられる手軽さが人気だ。

するめ糀漬、岩美イケイケ魚(フィッシュ)(ハタハタ)

漁業者も、直接販売を実施

当地区では漁協女性部の活動のほか、漁業者も地域活性化の取組に精を出している。
「きなんせ岩美」では、沿岸漁業者が高鮮度魚介類を直接販売する。この取組で、魚介類が浜値の2割ほど高く取引できたケースもあるという。
また、沖底ものの低利用魚であるノロゲンゲや地元で「ばばちゃん」と呼ばれるタナカゲンゲの試食販売を行い、鮮魚販売量が増加。好評を得ていることから、漁業者も手応えを感じている。

直接販売の様子、きなんせ岩美

女性のチカラが地域を発展させる

女性部の努力とパワーにより実現した当地区の漁村カフェ及び加工事業だが、「今後は、既存のメニューに加えて新たなメニューづくりにも取組みたい」と、更なるパワーアップを目指している。

地域活性化のためには、イベント開催や直営店オープンによる来客数の増加も効果的であるが、それだけではない。岩美町の浜プランは、女性が生きがいを持って働ける場所づくりが、地域活性化のヒントとなることを示してくれている。

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