浜プランの取組地区数
5 6 7 地区
浜プランの取組地区数
5 6 7 地区
取組概要 | 養殖ワカメの生産性向上・価格安定化・販売促進、養殖生コンブの販路拡大・付加価値向上 |
キーワード | 真崎ワカメ MEL CoC認証 販売促進 |
販路 | 域外流通 |
取組タイプ | 漁法・水揚方法 |
魚種 |
アワビ コンブ サケ ワカメ ウニ |
前期の計画における試みを踏まえ、田老地区に合った取組を更に吟味し、実施してい
くことが更なる地域の所得向上に繋がるものと考える。
前期プランの様々な試みの中には、消費者の動向にそぐわないものや組合員に要望し
ても受入れてもらえないものもあった。組合員の家族構成と生産工程の問題、漁業環境
の違いからどうしても実行に移せないものもあり、第 2 期プランにおいてはその成果と
課題を踏まえつつ、
・養殖ワカメの生産性向上、価格安定化、販売促進
・安定的なアワビの種苗放流による水揚量向上
・養殖生コンブの販路拡大と付加価値向上
・ウニ資源の効率的な利用による所得向上
・新規就業者の確保と魅力ある漁業づくり
・天然ワカメの販路開拓と積極的採捕による所得向上
・サケ放流種苗の安定確保と回帰率回復による所得向上
・減速航行等による燃料消費量の削減
を取組の柱として基本方針に掲げ、組合員の所得向上を達成する新たな計画とする。
漁業収入を向上させるための取組み
1.養殖ワカメの生産性向上、価格安定化、販売促進(新規)
当地区の養殖ワカメ種苗は地先のメカブから採苗し、一定期間の沖合での養成を行う。
収穫は一定期間に集中し、品質が低下するまでに刈り取りを終了しなければならないこ
とから、一回の漁が長時間になり後継者不足や担い手不足の原因とされている。半フリ
ー種苗(※)が安定供給されることで、従前の漁期前にワカメが成長し早期に刈り取り
が実現することから、刈り取り時期の期間延長と収穫量の増加により所得向上が期待さ
れる。
漁協の全量買い取り方式は、平均単価を設定したうえで、一定の受け取り期間を決め、
そこに仮単価を当てはめていくこととしている。仮単価は早期のものは高めに設定され
ていることから、早い段階で収穫サイズに育つ半フリー種苗のワカメが高単価で集荷さ
れることで、全体の価格上昇と水揚げ高の向上に繋がる。
養殖生産物の販売促進については、今般環境そして生態系にやさしい方法で行われて
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いる漁業や養殖業を認証する仕組みが必要となっている。水産エコラベル「MEL CoC 認
証」は生産段階と流通加工段階の認証であり、消費者と生産者が安心安全を認識出来る
システムであるこの認証を取得し、加工品の付加価値を高めた販売促進に繋げる。
※ 従来の人工種苗生産技術を改良し、陸上施設で葉長3~5cm に成長するまで管理
した種苗。早期に沖出し可能になるなどの効果が期待される。
2.安定的なアワビの種苗放流による水揚量向上(継続)
平成 26 年 2 月に完成したアワビ種苗生産施設の稼働により、平成 27 年から、震災後
中断していた放流を再開してアワビ稚貝 120 万個の適地放流が可能となった。今後、継
続的に種苗生産及び放流を行うとともに、5 年後の採捕漁獲を確実なものにするため、資
源量把握調査の実施と海藻類の給餌を行い資源維持に努める。
3.養殖生コンブの販路拡大と付加価値向上(新規)
養殖生コンブは本来、乾燥コンブ作業が本格化する前に生で早期に出荷し、コンブ漁
期を長くしてコンブ収入全体を向上させる目的で始まったものであるが、震災以降、素
干しコンブの単価の安定により生から乾燥へ転換したことや、出荷する前に異物を確認
する手作業が必要で、最終的に原価高となることから、引受先が限られ、販売不振とな
り在庫が増える状況となっている。そこで、一次加工における異物を除去する加工方法
を確立し、原価を最小限に抑え、販売不振の解消と販路の拡大を図る。
また、新たな商品開発として、「黒昆布」を利用した「お菓子コンブ」製品の委託製造
を実現させることで、付加価値の向上を目指す。
4.ウニ資源の効率的な利用による所得向上(新規)
震災以降、ウニの資源量は増加傾向にあることから、より積極的な口開けにより水揚
げを増やし組合員収入の向上を図る。
直近の口開け回数は平均して 10 回程であり、日和見の口開けではよほど条件が良い年
でないと計画の 15 回を口開けすることは難しい。また、1回の口開けで採捕できる数量
は1カゴ以内と制限している。ついては、共同漁業権を共に管理している小本浜漁協と
の漁業権連合管理委員会で採捕カゴの大きさを検討し1回の口開けでの採捕量を多くす
ることを計画している。新カゴは従前のものの 1.25 倍の収用率になるが、採捕量が増え
ればむき身作業が通常集荷に間に合わないと想定されることから、通常集荷と午後集荷
を併用するなど集荷体制を強化して水揚げ量向上に努める。
また、ウニ資源の持続的な利用に向けて、ウニや餌海藻の生育状況の把握と併せて、
口開け終了後の深場から浅場へのウニの移殖と海藻給餌等の取組によりウニ資源の有効
利用を促進することで、適切な漁場管理に努める。
5.新規就業者の確保と魅力ある漁業づくり(拡充)
漁業者の高齢化や漁業に担い手不足から組合員数は年々減少しているため、漁協は、
広告等により組合員の募集を図る。また、支援制度として、漁業人材育成総合支援事業
(国)、いわて水産アカデミー(県)、宮古市漁業担い手確保対策事業(市)などを活用
し、容易に漁業に就業できる環境づくりに取り組む。新加入の組合員へは共同利用漁船
と採介藻漁具を有償で貸し出し、負担を軽減する。また、漁協は、宮古市漁業就業者育
成協議会と連携し、漁業者及び漁家子息の結婚活動を支援するためのイベント等を開催
する。更に、漁協は共同漁業権行使規則の特例により、18 歳以下の組合員子弟について
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ウニ・アワビ漁への出漁を認め、漁業就業へきっかけを作る。
6.天然ワカメの販路開拓と積極的採捕による所得向上(新規)
・天然ワカメはここ数年順調に繁茂している状況だが、近年の高値安定価格により買取
後の販売に苦慮していることから、漁協は生産量の少ない天然ワカメの希少性をいかし
て販路開拓を推し進めるとともに、口開け時期を早めて柔らかいワカメを採捕し所得向
上を促す。天然ワカメの採捕と併せて、母藻とするワカメを選別して漁場に残すことで、
資源維持に努める。
7.サケ放流種苗の安定確保と回帰率回復による所得向上(新規)
震災前に比べると河川への遡上数とともに定置網での漁獲量も減少している。河川遡
上したサケだけでは親魚数が足りないことから、不足を補うため、定置網で漁獲したサ
ケを生かしたままふ化場へ運んで種苗生産用親魚として使うほか、卵の消毒や海面生簀
による稚魚の中間育成を実施し、3,350 万尾の健苗放流と回帰率の向上を目指す。
漁業コストを削減させるための取組み
1.減速航行等による燃料消費量の削減(継続)
漁協は、組合員の省燃油に対する意識改革を機会あるごとに指導する。漁業者は漁船
減速航行や船底掃除などに取組む。
1.養殖ワカメ未利用部分の有効活用による付加価値向上
・漁協は、キリン(株)「復興応援 キリン「絆」プロジェクト」の支援で開発された元茎を使用した佃煮製品である「茎しほ」、「茎しぐれ」を商品化する。また、漁協は材料確保先となる養殖漁業者の「元茎」買取り計画(単価UP)を策定し継続的な漁協への出荷を促す。
2.「真崎わかめ」の部位別商品化による買取単価向上
・養殖漁業者及び漁協は、これまで原料出荷であった2 号品以下のわかめを部位別商「塩分40%真崎わかめ」、「元茎」、「枝葉」、「茎」として商品化し、首都圏の百貨店など新しいチャンネルで販売できるよう、販売先を検討する。
3.アワビ種苗放流による水揚げ金額の向上
・平成26 年2 月に完成したアワビ種苗生産施設の稼働により、アワビ稚貝1,200,000 個の適地(餌の状況・生育環境が良好な場所)放流が可能となった。(平成27 年放流実施済)今後継続的に種苗生産及び放流を行うとともに、4 年後の採捕を確実なものにするため、漁協及び採介藻漁業者は、岩手県水産技術センターの指導(協力)のもと、その間資源量把握調査の実施と、海藻類の給餌を行い資源維持に努める。
4.直売所活用による地場流通と雇用の創出
・「新道の駅たろう」に建設予定の魚介直売所(海産物及び加工品販売)において、創設する産直組合の中心となる漁協は魚介の販売・加工を通し組合員の雇用の創出が図られるよう、販売方法や商品開発の検討を行う。
5.低価格魚種の付加価値向上
・漁協自営定置網乗組員及び漁協は、平成29 年稼働を目標としている魚介直売所(海産物及び加工品販売)を利用し、赤島・佐賀部・大丸磯定置網で漁獲された2 ㎏未満の鮭のフィーレ及び切り身製造、低価のサバ、その他小魚を月1度の週末限定で漁師直売会として、地元及び近隣地域の消費者へ販売するための検討を行う。
6.蒸しウニ製造による付加価値向上
・震災以降ウニの資源量は増加傾向にあり、現在は海藻の繁茂により餌は確保されているものの、海の状況によっては磯焼けも心配される状況にある。漁協は、より積極的な口開けにより採介藻漁業者の水揚げ及び収入の向上を図る。採介藻漁業者及び漁協は、従来、ウニの出荷は「むき身出荷」と「殻付き出荷」の2 通りであったものを今後、蒸しウニを製造販売することでさらなる所得向上を図るため、本年度数名の組合員により試験的に製造を行う。
7.養殖新規着業者の確保と魅力ある漁業づくりの取組み
・漁協は、新規養殖漁業者に対して、宮古市新規就漁者支援補助金と養殖漁業新規着業者・規模拡大支援プログラムを活用し、設備投資を含む着業支援を行う。
・漁協は、宮古市漁業就業者育成協議会と協調し漁業者及び漁家子息の結婚活動を支援するためのイベント等を開催する。
・漁協は、18 歳以下の組合員子弟を特例により、ウニ・アワビ漁に出漁させ漁業就業へのきっかけを作る。
JF・団体名 | 田老町漁業協同組合 |
住所 | 〒027-0307 岩手県宮古市田老3-2-1 |
電話番号 | 0193-87-2171 |
「浜の活力再生プラン」(通称「浜プラン」)は、2014年に始まった、水産業の活性化のための改革の取組です。地域によってさまざまに異なる水産業・漁業を振興させることを目指して、それぞれの漁村や地域(=「浜」)の現状に合わせて考えられた取組計画を「浜プラン」と呼びます。
浜プランは、漁業者や市町村を中心に組織された「地域水産業再生委員会」が、課題・計画・目標を見据えて立案します。
その大目標は、「漁業所得の10%アップ」。収入を向上させる取組、コストを削減する取組など、多種多様な具体的なプランが実践されており、2017年8月現在、北海道から沖縄まで、全国で640を超える浜プランが策定されています。
浜ごとに策定される浜プラン。浜の数だけ課題があり、取組が行われています。大きくは以下のような取組が全国の浜で取組まれています。
<収入向上の取組>
高鮮度出荷・加工品開発、直販・輸出など
<コスト削減の取組>
省エネ機器の導入・協業化・船底清掃の取組実施など
浜プランは、「地域活性化のための処方箋」です。
各地域が抱える課題に対し、漁業者と市町村がタッグを組んで自ら考えた解決策を実践することに、浜プランの本質があります。漁業や水産業の改革によって地域全体を元気にすること、「地域創生」に貢献することが、それぞれの浜プランの役割です。
付加価値向上 | 生産・流通 | 外食・観光 | 消費拡大 | 計 | 参考 各地の浜プラン | |
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北海道地区 | 32 | 16 | 7 | 33 | 北海道 | |
東北地区 | 62 | 31 | 3 | 22 | 青森県、岩手県、宮城県、秋田県 山形県、福島県 | |
関東地区 | 70 | 40 | 16 | 13 | 茨城県、千葉県、東京都、神奈川県 | |
北陸地区 | 24 | 12 | 4 | 19 | 新潟県、富山県、石川県、福井県 | |
東海地区 | 23 | 19 | 13 | 14 | 岐阜県、静岡県、愛知県、三重県 | |
近畿地区 | 30 | 11 | 10 | 33 | 滋賀県、京都府、大阪府、兵庫県(日本海側)、 兵庫県(瀬戸内海側)、和歌山県 | |
中国地区 | 32 | 10 | 15 | 44 | 鳥取県、島根県、岡山県、広島県、山口県 | |
四国地区 | 40 | 53 | 5 | 75 | 徳島県、香川県、愛媛県、高知県 | |
九州・沖縄地区 | 73 | 59 | 41 | 67 | 福岡県、佐賀県、長崎県、熊本県、大分県、宮崎県、鹿児島県、沖縄県 | |
計 |