浜プランの取組地区数
5 6 7 地区
浜プランの取組地区数
5 6 7 地区
取組概要 | ノリ共同加工施設の利用、学校給食への提供 |
キーワード | ノリ共同加工施設の整備 PR 活動の推進 単価の高い青混ぜノリの生産 |
販路 | 域外流通 |
取組タイプ | 出荷形態(共同化・集約化など) |
魚種 |
ノリ |
【漁業収入向上のための取組】
① 2 棟目のノリ共同加工施設の整備
乾海苔への加工は従来、各戸で乾燥機を整備して行うことが主流であったが、整備費用や施設更新費用が経営を圧迫し、かつ、家族労働者の高齢化など陸上労働者の確保が難しくなっているため、全国的に共同加工施設への移行が進んでいる。当地区でも28 年度にノリ共同加工施設1 号棟を整備したところ、生産性及び品質の向上効果が図られ、利用者の所得向上が認められた。当地区の17 経営体のうち12 経営体は未だ自己所有施設を利用していることから、当地区にノリ共同加工施設を増棟して利用者数を増やすことで、地区全体の漁業収入の向上及び経営体の減少に歯止めをかけることが可能になる。
② 単価の高い青混ぜノリの生産
本県で生産される青混ぜノリ(黒ノリとアオノリが混ざった乾海苔)は、市場から高い評価を受け、黒ノリ単独の乾海苔よりも約3 円高値で取引されている。従来、青混ぜノリはアオノリの天然発生が多い県内の他地区が主生産であったが、近年、千葉県水産総合研究センターがアオノリの人工採苗技術の開発を進めており、その技術等の普及を受けて、当地区でも生産の取組を推進する。目標年の35 年度には総生産枚数の3%を黒ノリから青混ぜノリに置き換えることを目標とする。
③ 生産対策
近年の気象・海況の変化に対応するため、第1 期浜プランで取り組みを進めた「漁場環境の把握と変動予測に基づく適切な養殖開始時期の検討」、「高温耐性品種ちばの輝きの導入」及び「台風に対する避難手法の導入」の普及を推進する。
また、当地区では平成27 年度漁期から年内生産期を中心とする極端な生育不良が3 カ年続けて発生している。原因は魚類やカモ類による食圧の増大や、沖合の栄養塩類の少ない暖水の波及など様々な要因が疑われている。現在、ノリ網を防除ネットで囲うことで一定の生育効果を認めているが、未だ原因は明確ではなく、防除ネットの購入や張込・撤去等に係る経費や労力は非常に大きい。そこで、水産総合研究センターと連携して、原因究明と効率的な防除手法の開発に取り組むこととする。
【漁業コスト削減のための取組】
④ 市場価格と養殖コストを意識した養殖方法の導入
当地区は漁期中に5 回程度の網の張替を行うことで、漁期を通して上物ノリを生産してきた。しかし、近年は贈答用需要が少なくなったことで、年明けに生産される上物ノリは中・下物との価格差が小さくなり、養殖コストに見合った価格で取引されない状況へ変化した。そこで、生産時期ごとの需要(市場価格)と養殖コストのバランスを意識した生産方式への変更を検討する。
【PR 活動の推進】
⑤ 学校給食への提供による食育活動
ノリを食べる食文化の継承と新たな千葉海苔のファンの獲得、市内地場産業であるノリ養殖の理解促進を図るため、市内の小中学校を中心にノリを提供し食育活動を行う。
⑥ 富津生ノリフェアとの連携
消費者に対して「新ノリ」や「ノリの旬」などの正しい情報、生産地でしか味わえない旬の生ノリの提供などを富津市商工会や市内飲食店と連携し、ノリのPR 活動を行う。
⑦ 千葉県海苔販売促進基本方針に基づく取組への参加
千葉県漁連・千葉県海苔問屋協同組合・千葉県が平成29 年1 月に策定した千葉県海苔販売促進基本方針に基づく取組(意見交換会、PR 活動など)に積極的に参加する。
・高速浸漬処理船の導入により、網の洗浄時間を短縮し、海上作業の省力化・効率化を進める。これに加えて時化日の半日出漁を行うことによって、刈り取り時の網洗いに加え「中洗い」を実施し、ノリ洗浄処理頻度の向上等を図ることによってノリ生産量の増大(約1.15倍)と品質の向上を目指す。併せて、「シケ日の全日休漁」を「天候に合わせて出漁できる柔軟なルール」とすることで、ノリ洗浄処理頻度の向上等を図る。
※現状は、ノリの刈り取り後(通常1日で1区画24枚分を刈り取る)、丸1日かかって刈り取った網の洗浄・交換を行っているが、高速浸漬処理船を導入することで、網洗浄・網交換は半日に短縮可能。その分、残り半日で別区画の中洗いを実施することが可能となる。中洗いは、網洗浄・網交換を行ったあと次の刈り取りまでの中間段階(概ね4日後)で実施する網の手入れのことで、中洗いを実施することにより、原藻が切れて流出するのを防ぎ、漁場面積(枚数)は同じでも収量を増やすことができる。また、ノリの品質も向上する。
・千葉県のノリ養殖研究機関である千葉県水産総合研究センター東京湾漁業研究所の指導を参考に、秋季の高水温化等の近年の環境変化に対応したノリ生産を行うため、水温の経過状況を見ながら適切な時期に生産を開始することにより、芽の脱落や形態悪化等を回避し、効率的なノリ養殖に取り組む。また、「しろぐされ症」等病害への早期対処により品質の高いノリ生産を目指す。さらに近年の栄養塩減少に伴うノリの色落ちによる単価の下落を防止するため、環境への影響を抑えた船上での施肥技術の開発に努める。
・千葉県漁連等と連携・協力して千葉産ノリの販売強化を図るとともに、千葉産ノリの特徴を活かした商品やメニュー開発等を積極的に行うことで知名度の向上を図る。これまでに大手コンビニエンスストアと提携し、地元のノリを主の食材として活用した「冷やし海苔ラーメン」、「二段のり弁当」等の商品を開発し好評を得ている。また、富津市商工会・市内の飲食店と連携したフェアを活用して、地元でなければ味わえない生ノリを、生ノリラーメンや三杯酢、お味噌汁、天ぷらなど、観光客向けに積極的に提供・販売することで、ノリの本当のおいしさを理解してもらい、ノリの消費拡大につなげる。さらに、地元小学校等を対象した食育教室を実施する。・漁協ブランドのノリ販売量を増加させるとともに、販路拡大に取り組む。また、富津市への来訪者を対象とした試食会開催や、ノリ養殖体験プログラムの実施を検討する。→高速浸漬処理船の導入等による海上作業の省力化等により、漁業収入が2.8%向上する一方、支出が2.8%増加するため、結果として漁業所得を2.5%向上させる(ノリ共同加工施設参加漁業者の取組を含む)。
http://www.jfa.maff.go.jp/j/bousai/attach/pdf/chiba-3.pdf
JF・団体名 | 天羽漁業協同組合(富津地区) |
住所 | 〒299-1622 千葉県富津市萩生1174-5 |
電話番号 | 0439-69-8321 |
「浜の活力再生プラン」(通称「浜プラン」)は、2014年に始まった、水産業の活性化のための改革の取組です。地域によってさまざまに異なる水産業・漁業を振興させることを目指して、それぞれの漁村や地域(=「浜」)の現状に合わせて考えられた取組計画を「浜プラン」と呼びます。
浜プランは、漁業者や市町村を中心に組織された「地域水産業再生委員会」が、課題・計画・目標を見据えて立案します。
その大目標は、「漁業所得の10%アップ」。収入を向上させる取組、コストを削減する取組など、多種多様な具体的なプランが実践されており、2017年8月現在、北海道から沖縄まで、全国で640を超える浜プランが策定されています。
浜ごとに策定される浜プラン。浜の数だけ課題があり、取組が行われています。大きくは以下のような取組が全国の浜で取組まれています。
<収入向上の取組>
高鮮度出荷・加工品開発、直販・輸出など
<コスト削減の取組>
省エネ機器の導入・協業化・船底清掃の取組実施など
浜プランは、「地域活性化のための処方箋」です。
各地域が抱える課題に対し、漁業者と市町村がタッグを組んで自ら考えた解決策を実践することに、浜プランの本質があります。漁業や水産業の改革によって地域全体を元気にすること、「地域創生」に貢献することが、それぞれの浜プランの役割です。
付加価値向上 | 生産・流通 | 外食・観光 | 消費拡大 | 計 | 参考 各地の浜プラン | |
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北海道地区 | 32 | 16 | 7 | 33 | 北海道 | |
東北地区 | 62 | 31 | 3 | 22 | 青森県、岩手県、宮城県、秋田県 山形県、福島県 | |
関東地区 | 70 | 40 | 16 | 13 | 茨城県、千葉県、東京都、神奈川県 | |
北陸地区 | 24 | 12 | 4 | 19 | 新潟県、富山県、石川県、福井県 | |
東海地区 | 23 | 19 | 13 | 14 | 岐阜県、静岡県、愛知県、三重県 | |
近畿地区 | 30 | 11 | 10 | 33 | 滋賀県、京都府、大阪府、兵庫県(日本海側)、 兵庫県(瀬戸内海側)、和歌山県 | |
中国地区 | 32 | 10 | 15 | 44 | 鳥取県、島根県、岡山県、広島県、山口県 | |
四国地区 | 40 | 53 | 5 | 75 | 徳島県、香川県、愛媛県、高知県 | |
九州・沖縄地区 | 73 | 59 | 41 | 67 | 福岡県、佐賀県、長崎県、熊本県、大分県、宮崎県、鹿児島県、沖縄県 | |
計 |