浜プランの取組地区数
5
8
5
地区
※2022年3月末時点
浜プランの取組地区数
5
8
5
地区
※2022年3月末時点
取組概要 | ホタルイカの鮮度向上・高付加価値化 |
キーワード | 深層水 急速冷凍施設 観光船 |
販路 | 域外流通 |
取組タイプ | 鮮度管理(冷凍・冷蔵技術など) |
魚種 |
ホタルイカ ベニズワイガニ ホッコクアカエビ キジハタ アカムツ |
漁獲量が不安定な状況において、漁業者の経営の安定を図るためには、漁業収入の向上
と漁業コストの削減が重要な要素となっている。
漁業収入向上のための取組として、漁獲物の鮮度向上・高付加価値化による魚価向上、
魚食の普及・啓発、漁獲物の販売力強化・販路拡大、環境保全、水産資源の維持・増大、
担い手対策、漁港周辺の賑わい創出(観光産業等との連携)といった活動を実施していく
ことが重要である。
一方、漁業コストの削減においては、施設整備による労働環境の改善や燃油消費量の削
減に取り組んでいく必要がある。
これらの取り組みによりプラン終了後には漁業所得の 10%の向上を目指す。
・漁業収入向上のための取組
1. 漁獲物の鮮度向上・高付加価値化による魚価向上
(1)海洋深層水の活用による鮮度保持
富山県産のホタルイカは、産卵のために湾内に入ってきたホタルイカを定置網で漁獲
しているため他県産に比べ大きく、また、漁場が近いので鮮度も抜群である。そのため、
富山県産のホタルイカは県内外で需要が高く、仲買人が少しでも新鮮な状態で遠方へ出
荷できる体制を求めている。
ホタルイカの鮮度管理には、①真水(氷)に触れさせないことと、②速やかに冷やす
ことが重要とされている。そのため、滑川で漁獲されるホタルイカは、鮮度保持のため、
漁獲後速やかに漁船で深層水に浸漬することで、高鮮度を保ってきた。
本プランにおいては、新たな取り組みとして、外気温の高い時期において、陸揚げ後
の選別から競りの工程でも海洋深層水に浸漬することで、遠方出荷の需要も見越したよ
り鮮度の高いホタルイカの提供を目指す。それにより、市場間の競争を活性化させ、ホ
タルイカ平均単価を向上させる。
(2)急速冷凍施設の活用
「滑川産ホタルイカ」のブランド化推進のため、滑川市が平成 29 年度にプロトン凍結
法を採用した急速冷凍施設の整備を行った。現在、滑川漁業協同組合や水産加工業者等
で構成される急速冷凍ホタルイカブランド確立協議会が活用し、滑川漁港で水揚げされ
たホタルイカの冷凍に使用している。本施設で急速冷凍したホタルイカは、従来の冷凍
ホタルイカよりも食味・食感等の品質が格段に向上しており、年間を通して良質な冷凍
ホタルイカの提供が可能となっている。
そこで、本プランにおいては、本施設を漁港付近に移設することで、新鮮な漁獲物を
速やかに冷凍できる体制を整える。加えて、整備予定の食堂で提供するメニューや、現
4
行の冷凍ホタルイカを始めとしたお土産加工品にも本施設を積極的に活用するため、漁
業者は食堂や加工品に必要な良質な水産物を選定し、それを急速冷凍ホタルイカブラン
ド確立協議会が買い上げて速やかに加工・冷凍できる体制を整えることで、良質で安定
した品質の水産物を提供し、販売量の拡大を目指す。
(3)ほたるいか海上観光、ほたるいかミュージアムとの連携による「滑川産ホタルイカ」
のブランド化
滑川漁業協同組合・滑川市はホタルイカ漁の見学を行う観光船事業「ほたるいか海上
観光」を継続的に実施し、「ほたるいかミュージアム」においてホタルイカの発光ショー
や生態などの紹介、ホタルイカ料理の提供、お土産としてホタルイカ加工品の販売など
を行う。また、ほたるいか海上観光後、ホタルイカ水揚見学ツアーも継続することで、
水産業と観光産業との連携を推進することで、「滑川産ホタルイカ」の一層のブランド化
を図っていく。併せて、滑川産ホタルイカをPRする市独自のポスター・パンフレット
の作成、ソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)の活用等、新しいPR手
法を実施していく。
2. 漁港周辺エリアの土地・建物を活用した「漁港・観光振興エリア」の整備
(新)による滑川漁港周辺の賑わい創出(観光産業等との連携)
(1)臨港食堂及び直売所の整備
滑川市は、漁港周辺の賑わい創出と漁業収入向上を目的として、漁業者が考案したメ
ニューを提供する食堂や直売所を整備する。食堂で使用する魚介類については、漁業者
が良質なものを選び、運営主体が平均単価より高く買い上げることで、魚価を向上させ
る。併せて、直売所において、移設した急速冷凍施設を活用しての冷凍ホタルイカやヒ
ラメ、バイ、エビなどを使った昆布締め等の冷凍お土産品の販売を行い、運営主体がそ
の原材料に使用する水産物を平均単価より高く買い上げることで、魚価を向上させる。
(2)休憩所及びトイレの整備
エリアを訪れた人が気軽に利用できる休憩所及びトイレを整備する。ベンチ、テーブ
ル、自動販売機(飲料)等の設置のほか、ホタルイカ定置網模型や滑川市観光案内マッ
プ、釣餌などの自動販売機を設置し、観光客や釣り客にも幅広く活用される施設を整備
する。
(3)天日塩作業所の整備
滑川市で製造・販売を行っている海洋深層水を 100%使用して天日製法で製造した「健けん好こ う
の塩」について、現状の作業所が狭く塩の在庫の保管を始めとして利便性が低いことから、新たな作業所の整備を行う。新たな作業所の整備により作業の大幅な効率化が期待できる。また、天日塩作業所を休憩所や食堂と一体的に整備することで、作業風景の一部を公開するなどしてPRを行い、漁港周辺への集客に結び付ける。
(4)漁港周辺イベントを活用した賑わい創出
漁港周辺では「春のほたるいかまつり」、「ふるさと龍宮まつり」等の各種イベントが
実施されている。その際には、滑川漁業協同組合女性部が調理した滑川産のホタルイカを使用した「ホタルイカめし」や、富山県産ベニズワイガニ「高志こ しの 紅あかガニ」の販売を行うなどの取組を通じて漁港周辺の賑わい創出とともに、滑川漁港で水揚げされた水産物のPRや魚食普及を推進していく。
3. 魚食の普及・啓発及び漁獲物の販売力強化・販路拡大
(1)滑川漁業協同組合女性部による魚の料理教室
年に数回、子育て世帯や滑川高等学校海洋科の生徒を対象とした「魚のさばき方教
室」、「ホタルイカ料理教室」など各種「魚の料理教室」を実施することで、魚食の啓発
を行い販売の強化と販路の拡大を図っていく。
(2)学校給食での地元水産物利用による魚食普及
滑川市内の小中学生が毎日食べる給食の食材に滑川漁港で水揚げされた水産物を使
用することで地元水産物の消費拡大を図る。また、ホタルイカは通常のイカと異なり内
臓も含めて食すことが一般的であるため小中学生には好みが分かれるが、旬の時期には
隠し味にカレー粉を加えたホタルイカのフライ「ホタルイカボンボン」等のメニューを
加え、地元水産業の特色を積極的にPRしていく。
(3)地元園児による種苗放流体験
毎年8月に滑川漁業協同組合が実施するクロダイの種苗放流を行う際に、滑川市から
市内の保育園等に案内し、園児による放流体験を実施する。園児が生きた魚と触れ合い、
漁業者と交流する機会を創出することで、園児本人や園児の家族に対して魚や漁業への
関心を持ってもらい、家庭での水産物の消費拡大を喚起する。
(4)「滑川産ホタルイカ」の認知度のさらなる向上を目指したPR活動(新)
「滑川産ホタルイカ」について、現状のほたるいか海上観光やほたるいかミュージア
ムでのPRに加え、ホタルイカ定置網漁に関連した各マスメディアの取材に対し漁業者
が積極的に対応し、全国的なPR活動に努める。また、滑川産ホタルイカ独自のPRポ
スターやパンフレット等を新たに作成するとともに、ホタルイカをはじめ滑川産水産物
のおいしさを市内の水産加工業者や料理店等の協力を得てSNS等の新たなPR媒体
を活用する。
6
(5)「高志こ しの 紅あかガニ」ブランドを活用した滑川産ベニズワイガニのPR
ベニズワイガニは滑川漁港で水揚げされている水産物の中ではホタルイカに次いで水揚金額が多く、滑川漁港で水揚げされるベニズワイガニは漁場が近いことから鮮度が良く品質が高いという長所がある。富山県で推進している富山県産ベニズワイガニ「高志こ しの紅あかガニ」ブランドとして紅ズワイガニ・ブランド化推進協議会と連携を図りながら滑川漁業協同組合や滑川市がPRしていくことで、滑川産ベニズワイガニの販売力強化を図る。
4. 環境保全、水産資源の維持・増大
(1)海岸清掃による漁場の環境保全
定期的に海岸清掃を行うことにより、漁場環境の保全に努める。現在、滑川漁業協同
組合が中心となり、年に 10 回程度滑川漁港周辺の清掃を行っており、現状の取組を継
続していく。
(2)種苗放流による水産資源の維持・増大
滑川漁業協同組合が、富山県農林水産公社栽培漁業センター等で生産された種苗を放
流し、資源増殖活動を行う。本プランでは、ヒラメの種苗放流数を増やし、種苗が密集
しないよう分散放流を行うことで、現状の放流効果をより向上させる。
また、富山県が主体となり現在技術開発を推進しているキジハタとアカムツについ
て、種苗供給が開始された際には、滑川地区においても放流を行う。
5. 担い手対策
(1)滑川高等学校海洋科の定置漁業実習受け入れ
滑川高等学校海洋科の生徒が将来的な漁業後継者となってもらえるよう、定置漁業実
習への受け入れを行う。定置漁業実習では、生徒が定置網漁船に乗船し、漁業者ととも
に網おこしをして実際の漁業を体験し、地元水産業の現場について知ってもらうこと
で、担い手の確保につなげていく。
(2)中学2年生を対象とした職業体験学習事業(14 歳の挑戦)の受け入れ
富山県下で実施されている中学2年生を対象とした職業体験学習事業「14 歳の挑戦」
において、滑川漁業協同組合での積極的な受け入れを推進する。職業体験では競りの見
学や、競りのデータ集計、掃除等の漁業協同組合の日常業務を体験する。近親者に漁業
関係者がいる家庭以外では漁協職員の業務内容について知る機会を持つ生徒は殆どい
ないため、これらの体験をもとに漁業への関心を深めてもらう。
7
(3)漁民センターの健康維持・体力増進設備の整備
滑川市漁民センターは、漁業者のコミュニティの場として活用されており、漁業者が
自由に使用できる健康維持・体力増進のためのトレーニング設備も整備されている。
市の漁業従事者のうち、高齢者(65 歳以上)の割合は 19.1%であり、県内全体(25.8%
平成 30 年漁業センサスより)との比較では高齢化率は比較的低い状況であるが、40~
64 歳の壮年層が 60.3%を占めており、トレーニング設備の活用による体力増進の意義
は非常に大きく、青年層も含め、今後も組合員への福利厚生の一環として、活用の推進
を図る。
・漁業コスト削減のための取組
1. 施設整備による労働環境の改善
(1)滑川漁港周辺エリア内の土地・建物を活用した「漁具倉庫」の整備(新)
籠縄漁業者、刺網漁業者の漁具倉庫が不足しており、倉庫に入れることができない漁
具を屋外で保管している状況である。エリア内の土地・建物を、漁業者が漁具倉庫とし
て使用できるよう、新たに整備する。
新たに漁具倉庫を整備することで漁業者の作業効率が上がるとともに、漁具の長寿命
化が図られ、損傷を抑え、漁業コストの削減を図ることが可能となる。
(2)既存設備の老朽化への対策(新)
滑川漁港内の漁具倉庫などの漁業施設について、中には築 40 年以上経過するものも
存在し、全体的な老朽化が進んでいることから、浜の活力再生・成長促進交付金などの
補助制度を活用して計画的に整備・改修を推進する。
(3)網干場の整備(新)
滑川地区の漁業者は滑川漁港西防波堤付近の網干場及び漁港西側の漁港用地等を主
な網干場として使用し、日々の漁労活動を行っている。しかし、11 ヶ統あるホタルイカ
定置網について、定期的に網を広げて破損個所の補修や、付着物の除去等の作業を行う
必要があり、現状の場所だけでは漁の最盛期である4月から6月にスペースが不足して
いる。
そのため、網干スペースを増やすことによって作業環境の大幅な改善が見込まれ、定
期的な補修や清掃により網の損耗を抑え漁労コストの削減を図ることが可能となる。漁
港内西側には整備用地が残されていないことから、東側での更なる網干場整備を進め
る。
2. 燃油消費量の削減
(1)積載量の減量の実施及び燃油高騰への対策
8
漁業者は、操業時の積載量の減量を励行するほか、燃費効率が良い動力機関への換装
を行う等して燃油消費量の削減を図る。
(2)2ノット以上の減速航行の励行
漁業者は2ノット以上の減速航行を励行し、燃油消費量の削減を図る。
漁獲量が不安定な状況において、漁業者の経営の安定を図るためには、漁業収入の向上
と漁業コストの削減が重要な要素となっている。
漁業収入向上のための取組として、漁獲物の鮮度向上・高付加価値化による魚価向上、
魚食の普及・啓発、漁獲物の販売力強化・販路拡大、環境保全、水産資源の維持・増大、
担い手対策、漁港周辺の賑わい創出(観光産業等との連携)といった活動を実施していく
ことが重要である。
一方、漁業コストの削減においては、施設整備による労働環境の改善や燃油消費量の削
減に取り組んでいく必要がある。
これらの取り組みによりプラン終了後には漁業所得の 10%の向上を目指す。
・漁業収入向上のための取組
1. 漁獲物の鮮度向上・高付加価値化による魚価向上
(1)海洋深層水の活用による鮮度保持
富山県産のホタルイカは、産卵のために湾内に入ってきたホタルイカを定置網で漁獲
しているため他県産に比べ大きく、また、漁場が近いので鮮度も抜群である。そのため、
富山県産のホタルイカは県内外で需要が高く、仲買人が少しでも新鮮な状態で遠方へ出
荷できる体制を求めている。
ホタルイカの鮮度管理には、①真水(氷)に触れさせないことと、②速やかに冷やす
ことが重要とされている。そのため、滑川で漁獲されるホタルイカは、鮮度保持のため、
漁獲後速やかに漁船で深層水に浸漬することで、高鮮度を保ってきた。
本プランにおいては、新たな取り組みとして、外気温の高い時期において、陸揚げ後
の選別から競りの工程でも海洋深層水に浸漬することで、遠方出荷の需要も見越したよ
り鮮度の高いホタルイカの提供を目指す。それにより、市場間の競争を活性化させ、ホ
タルイカ平均単価を向上させる。
(2)急速冷凍施設の活用
「滑川産ホタルイカ」のブランド化推進のため、滑川市が平成 29 年度にプロトン凍結
法を採用した急速冷凍施設の整備を行った。現在、滑川漁業協同組合や水産加工業者等
で構成される急速冷凍ホタルイカブランド確立協議会が活用し、滑川漁港で水揚げされ
たホタルイカの冷凍に使用している。本施設で急速冷凍したホタルイカは、従来の冷凍
ホタルイカよりも食味・食感等の品質が格段に向上しており、年間を通して良質な冷凍
ホタルイカの提供が可能となっている。
そこで、本プランにおいては、本施設を漁港付近に移設することで、新鮮な漁獲物を
速やかに冷凍できる体制を整える。加えて、整備予定の食堂で提供するメニューや、現
4
行の冷凍ホタルイカを始めとしたお土産加工品にも本施設を積極的に活用するため、漁
業者は食堂や加工品に必要な良質な水産物を選定し、それを急速冷凍ホタルイカブラン
ド確立協議会が買い上げて速やかに加工・冷凍できる体制を整えることで、良質で安定
した品質の水産物を提供し、販売量の拡大を目指す。
(3)ほたるいか海上観光、ほたるいかミュージアムとの連携による「滑川産ホタルイカ」
のブランド化
滑川漁業協同組合・滑川市はホタルイカ漁の見学を行う観光船事業「ほたるいか海上
観光」を継続的に実施し、「ほたるいかミュージアム」においてホタルイカの発光ショー
や生態などの紹介、ホタルイカ料理の提供、お土産としてホタルイカ加工品の販売など
を行う。また、ほたるいか海上観光後、ホタルイカ水揚見学ツアーも継続することで、
水産業と観光産業との連携を推進することで、「滑川産ホタルイカ」の一層のブランド化
を図っていく。併せて、滑川産ホタルイカをPRする市独自のポスター・パンフレット
の作成、ソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)の活用等、新しいPR手
法を実施していく。
2. 漁港周辺エリアの土地・建物を活用した「漁港・観光振興エリア」の整備
(新)による滑川漁港周辺の賑わい創出(観光産業等との連携)
(1)臨港食堂及び直売所の整備
滑川市は、漁港周辺の賑わい創出と漁業収入向上を目的として、漁業者が考案したメ
ニューを提供する食堂や直売所を整備する。食堂で使用する魚介類については、漁業者
が良質なものを選び、運営主体が平均単価より高く買い上げることで、魚価を向上させ
る。併せて、直売所において、移設した急速冷凍施設を活用しての冷凍ホタルイカやヒ
ラメ、バイ、エビなどを使った昆布締め等の冷凍お土産品の販売を行い、運営主体がそ
の原材料に使用する水産物を平均単価より高く買い上げることで、魚価を向上させる。
(2)休憩所及びトイレの整備
エリアを訪れた人が気軽に利用できる休憩所及びトイレを整備する。ベンチ、テーブ
ル、自動販売機(飲料)等の設置のほか、ホタルイカ定置網模型や滑川市観光案内マッ
プ、釣餌などの自動販売機を設置し、観光客や釣り客にも幅広く活用される施設を整備
する。
(3)天日塩作業所の整備
滑川市で製造・販売を行っている海洋深層水を 100%使用して天日製法で製造した「健けん好こ う
の塩」について、現状の作業所が狭く塩の在庫の保管を始めとして利便性が低いことから、新たな作業所の整備を行う。新たな作業所の整備により作業の大幅な効率化が期待できる。また、天日塩作業所を休憩所や食堂と一体的に整備することで、作業風景の一部を公開するなどしてPRを行い、漁港周辺への集客に結び付ける。
(4)漁港周辺イベントを活用した賑わい創出
漁港周辺では「春のほたるいかまつり」、「ふるさと龍宮まつり」等の各種イベントが
実施されている。その際には、滑川漁業協同組合女性部が調理した滑川産のホタルイカを使用した「ホタルイカめし」や、富山県産ベニズワイガニ「高志こ しの 紅あかガニ」の販売を行うなどの取組を通じて漁港周辺の賑わい創出とともに、滑川漁港で水揚げされた水産物のPRや魚食普及を推進していく。
3. 魚食の普及・啓発及び漁獲物の販売力強化・販路拡大
(1)滑川漁業協同組合女性部による魚の料理教室
年に数回、子育て世帯や滑川高等学校海洋科の生徒を対象とした「魚のさばき方教
室」、「ホタルイカ料理教室」など各種「魚の料理教室」を実施することで、魚食の啓発
を行い販売の強化と販路の拡大を図っていく。
(2)学校給食での地元水産物利用による魚食普及
滑川市内の小中学生が毎日食べる給食の食材に滑川漁港で水揚げされた水産物を使
用することで地元水産物の消費拡大を図る。また、ホタルイカは通常のイカと異なり内
臓も含めて食すことが一般的であるため小中学生には好みが分かれるが、旬の時期には
隠し味にカレー粉を加えたホタルイカのフライ「ホタルイカボンボン」等のメニューを
加え、地元水産業の特色を積極的にPRしていく。
(3)地元園児による種苗放流体験
毎年8月に滑川漁業協同組合が実施するクロダイの種苗放流を行う際に、滑川市から
市内の保育園等に案内し、園児による放流体験を実施する。園児が生きた魚と触れ合い、
漁業者と交流する機会を創出することで、園児本人や園児の家族に対して魚や漁業への
関心を持ってもらい、家庭での水産物の消費拡大を喚起する。
(4)「滑川産ホタルイカ」の認知度のさらなる向上を目指したPR活動(新)
「滑川産ホタルイカ」について、現状のほたるいか海上観光やほたるいかミュージア
ムでのPRに加え、ホタルイカ定置網漁に関連した各マスメディアの取材に対し漁業者
が積極的に対応し、全国的なPR活動に努める。また、滑川産ホタルイカ独自のPRポ
スターやパンフレット等を新たに作成するとともに、ホタルイカをはじめ滑川産水産物
のおいしさを市内の水産加工業者や料理店等の協力を得てSNS等の新たなPR媒体
を活用する。
6
(5)「高志こ しの 紅あかガニ」ブランドを活用した滑川産ベニズワイガニのPR
ベニズワイガニは滑川漁港で水揚げされている水産物の中ではホタルイカに次いで水揚金額が多く、滑川漁港で水揚げされるベニズワイガニは漁場が近いことから鮮度が良く品質が高いという長所がある。富山県で推進している富山県産ベニズワイガニ「高志こ しの紅あかガニ」ブランドとして紅ズワイガニ・ブランド化推進協議会と連携を図りながら滑川漁業協同組合や滑川市がPRしていくことで、滑川産ベニズワイガニの販売力強化を図る。
4. 環境保全、水産資源の維持・増大
(1)海岸清掃による漁場の環境保全
定期的に海岸清掃を行うことにより、漁場環境の保全に努める。現在、滑川漁業協同
組合が中心となり、年に 10 回程度滑川漁港周辺の清掃を行っており、現状の取組を継
続していく。
(2)種苗放流による水産資源の維持・増大
滑川漁業協同組合が、富山県農林水産公社栽培漁業センター等で生産された種苗を放
流し、資源増殖活動を行う。本プランでは、ヒラメの種苗放流数を増やし、種苗が密集
しないよう分散放流を行うことで、現状の放流効果をより向上させる。
また、富山県が主体となり現在技術開発を推進しているキジハタとアカムツについ
て、種苗供給が開始された際には、滑川地区においても放流を行う。
5. 担い手対策
(1)滑川高等学校海洋科の定置漁業実習受け入れ
滑川高等学校海洋科の生徒が将来的な漁業後継者となってもらえるよう、定置漁業実
習への受け入れを行う。定置漁業実習では、生徒が定置網漁船に乗船し、漁業者ととも
に網おこしをして実際の漁業を体験し、地元水産業の現場について知ってもらうこと
で、担い手の確保につなげていく。
(2)中学2年生を対象とした職業体験学習事業(14 歳の挑戦)の受け入れ
富山県下で実施されている中学2年生を対象とした職業体験学習事業「14 歳の挑戦」
において、滑川漁業協同組合での積極的な受け入れを推進する。職業体験では競りの見
学や、競りのデータ集計、掃除等の漁業協同組合の日常業務を体験する。近親者に漁業
関係者がいる家庭以外では漁協職員の業務内容について知る機会を持つ生徒は殆どい
ないため、これらの体験をもとに漁業への関心を深めてもらう。
7
(3)漁民センターの健康維持・体力増進設備の整備
滑川市漁民センターは、漁業者のコミュニティの場として活用されており、漁業者が
自由に使用できる健康維持・体力増進のためのトレーニング設備も整備されている。
市の漁業従事者のうち、高齢者(65 歳以上)の割合は 19.1%であり、県内全体(25.8%
平成 30 年漁業センサスより)との比較では高齢化率は比較的低い状況であるが、40~
64 歳の壮年層が 60.3%を占めており、トレーニング設備の活用による体力増進の意義
は非常に大きく、青年層も含め、今後も組合員への福利厚生の一環として、活用の推進
を図る。
・漁業コスト削減のための取組
1. 施設整備による労働環境の改善
(1)滑川漁港周辺エリア内の土地・建物を活用した「漁具倉庫」の整備(新)
籠縄漁業者、刺網漁業者の漁具倉庫が不足しており、倉庫に入れることができない漁
具を屋外で保管している状況である。エリア内の土地・建物を、漁業者が漁具倉庫とし
て使用できるよう、新たに整備する。
新たに漁具倉庫を整備することで漁業者の作業効率が上がるとともに、漁具の長寿命
化が図られ、損傷を抑え、漁業コストの削減を図ることが可能となる。
(2)既存設備の老朽化への対策(新)
滑川漁港内の漁具倉庫などの漁業施設について、中には築 40 年以上経過するものも
存在し、全体的な老朽化が進んでいることから、浜の活力再生・成長促進交付金などの
補助制度を活用して計画的に整備・改修を推進する。
(3)網干場の整備(新)
滑川地区の漁業者は滑川漁港西防波堤付近の網干場及び漁港西側の漁港用地等を主
な網干場として使用し、日々の漁労活動を行っている。しかし、11 ヶ統あるホタルイカ
定置網について、定期的に網を広げて破損個所の補修や、付着物の除去等の作業を行う
必要があり、現状の場所だけでは漁の最盛期である4月から6月にスペースが不足して
いる。
そのため、網干スペースを増やすことによって作業環境の大幅な改善が見込まれ、定
期的な補修や清掃により網の損耗を抑え漁労コストの削減を図ることが可能となる。漁
港内西側には整備用地が残されていないことから、東側での更なる網干場整備を進め
る。
2. 燃油消費量の削減
(1)積載量の減量の実施及び燃油高騰への対策
8
漁業者は、操業時の積載量の減量を励行するほか、燃費効率が良い動力機関への換装
を行う等して燃油消費量の削減を図る。
(2)2ノット以上の減速航行の励行
漁業者は2ノット以上の減速航行を励行し、燃油消費量の削減を図る。
JF・団体名 | 滑川漁業協同組合 |
住所 | 〒936‐0011 富山県滑川市高塚2616 |
電話番号 | (076)475‐2225 |
「浜の活力再生プラン」(通称「浜プラン」)は、2014年に始まった、水産業の活性化のための改革の取組です。地域によってさまざまに異なる水産業・漁業を振興させることを目指して、それぞれの漁村や地域(=「浜」)の現状に合わせて考えられた取組計画を「浜プラン」と呼びます。
浜プランは、漁業者や市町村を中心に組織された「地域水産業再生委員会」が、課題・計画・目標を見据えて立案します。
その大目標は、「漁業所得の10%アップ」。収入を向上させる取組、コストを削減する取組など、多種多様な具体的なプランが実践されており、2017年8月現在、北海道から沖縄まで、全国で640を超える浜プランが策定されています。
浜ごとに策定される浜プラン。浜の数だけ課題があり、取組が行われています。大きくは以下のような取組が全国の浜で取組まれています。
<収入向上の取組>
高鮮度出荷・加工品開発、直販・輸出など
<コスト削減の取組>
省エネ機器の導入・協業化・船底清掃の取組実施など
浜プランは、「地域活性化のための処方箋」です。
各地域が抱える課題に対し、漁業者と市町村がタッグを組んで自ら考えた解決策を実践することに、浜プランの本質があります。漁業や水産業の改革によって地域全体を元気にすること、「地域創生」に貢献することが、それぞれの浜プランの役割です。
付加価値向上 | 生産・流通 | 外食・観光 | 消費拡大 | 計 | 参考 各地の浜プラン | |
---|---|---|---|---|---|---|
北海道地区 | 32 | 16 | 7 | 33 | 北海道 | |
東北地区 | 62 | 31 | 3 | 22 | 青森県、岩手県、宮城県、秋田県 山形県、福島県 | |
関東地区 | 70 | 40 | 16 | 13 | 茨城県、千葉県、東京都、神奈川県 | |
北陸地区 | 24 | 12 | 4 | 19 | 新潟県、富山県、石川県、福井県 | |
東海地区 | 23 | 19 | 13 | 14 | 岐阜県、静岡県、愛知県、三重県 | |
近畿地区 | 30 | 11 | 10 | 33 | 滋賀県、京都府、大阪府、兵庫県(日本海側)、 兵庫県(瀬戸内海側)、和歌山県 | |
中国地区 | 32 | 10 | 15 | 44 | 鳥取県、島根県、岡山県、広島県、山口県 | |
四国地区 | 40 | 53 | 5 | 75 | 徳島県、香川県、愛媛県、高知県 | |
九州・沖縄地区 | 73 | 59 | 41 | 67 | 福岡県、佐賀県、長崎県、熊本県、大分県、宮崎県、鹿児島県、沖縄県 | |
計 |