浜プランの取組地区数
5 6 7 地区
浜プランの取組地区数
5 6 7 地区
取組概要 | 製氷施設等の整備とブランド魚の立ち上げ |
キーワード | ブランド化 未利用魚 活け締め |
販路 | その他 |
取組タイプ | 鮮度管理(冷凍・冷蔵技術など) |
魚種 |
シラス キンメ イセエビ サワラ カツオ |
第 1 期の取組の中で現在も継続しているものを引き続き行うと共に、第 1 期策定時とは漁業環
境も変わっているため、現在の状況を踏まえた取組を実践していく。
様々な魚種で資源量の低下が指摘されており、大幅な漁獲量増加による漁業収入を見込むこと
はできない。ここ数年の黒潮の大蛇行や毎年のように起こる異常気象の影響も十分に考えられる
が、今現在、昔ながらの漁業スタイルからの大きな転換点に立たされているのではないかと考え
る。今後は限りある資源を如何にして分け合って獲り、如何にして付加価値を付け高く売るかを
漁業者一人一人が考えて操業にあたることが必要になってくることから、下記の取組を実施して
いく。
【漁業収入向上のための取組】
① 吉田市場製氷施設の整備(継続)
南駿河湾漁協吉田市場において、漁業者の漁業生産基盤である製氷施設を整備する。現在、吉
田市場において新しい製氷施設の建設が進行中で、令和 4 年 3 月の完成が予定されている。製氷
搬出操作の自動化とエアー搬送システムの導入により、船積用搬出口を従来の 1 か所から 2 か所
に増やすことで、大漁時等に氷の積込み待ちで船が集中した際、積込時間の大幅な短縮により品
質低下を防ぐことが出来る。
② 御前崎市場製氷施設及び付帯施設整備(新規)
吉田市場の製氷施設が整備され次第、御前崎市場において、同様に漁業者の漁業生産基盤であ
る製氷施設を整備する。また、製氷施設の付帯施設として、シャーベットアイス発生装置の導入
を検討する。シャーベットアイスは砕氷より冷却効果が高いため、定置網及び一本釣り漁船が水
揚げした魚を高鮮度のまま消費者市場へ出荷が可能となり、魚価向上が期待される。
③ 水産イベント・水産教室の開催(継続)
漁協は、魚食普及の取り組みとして、漁協主催の「御前崎みなとカツオ祭り」、「吉田シラスマ
ーケット」等の水産イベントを市や観光協会と連携して積極的に開催し、地元水産物のPRと地
域の活性化を図る。また、当地域の小学校で親子料理教室の他チリメンモンスター教室や海藻お
しば教室などの水産教室を開催し、子どもたちや若い世代に地元水産物の魅力を伝え、知名度向
上や消費拡大を図る。
〈シラス船曳網漁業〉
④ シラス船曳網漁業における水揚げ金のプール制度(継続)
シラス船曳網漁業者は、吉田市場と御前崎市場において大漁時、プール制に移行することで資
源の有効活用を図る。
⑤ シラスの鮮度保持(継続)
シラス船曳網漁業者は、魚価を上げる取組として、曳網時間を短縮し、水揚げ時の選別を手早
く行い、外の熱気に出来るだけ触れることが無いようアルミ製のシートをかぶせて保管し、すぐ
に帰港、水揚げすることで、高鮮度のシラスの提供を図る。
〈沿岸漁業〉
⑥ 海産物の付加価値向上
・活き締め(脱血処理)の実施(新規)
漁業者は、定置網及び一本釣により漁獲された魚を船上で活き締め・脱血処理を行う。脳天を
割り即殺し脱血することで、暴れまわることによる魚体の損傷が最小で済み、臭みや傷みの原因
となる血生臭さが無くなり、腐敗するスピードが格段に遅くなる。食肉で行う「熟成」が魚でも
可能になる。活き締めした魚を安定供給させることで、魚価向上を期す。
・ブランド魚の立ち上げ(新規)
漁協は、魚価向上を目的にブランド魚を立ち上げる。南駿河湾漁協では 2 年前に活締め脱血・
高脂質を謳ったブランド魚「波乗り鰆」を立ち上げ、サワラの魚価が向上した。活き締めを施し
たサワラ以外の魚種についてもブランド化の検討を行う。さらに、既存ブランド魚についてはブ
ランド力の強化を図る。
・未利用魚の活用(継続)
漁協は、当地域で漁獲される未利用魚(クロシビカマス・アイゴ・ニザダイ)について、料理
人の協力を得ながらレシピの開発を行う。開発したレシピは料理教室・SNS で公開し、地元に
おける魚食需要の掘り起こしを行う。
⑦ 魚類の販路拡大(新規)
漁協は、魚類の新たな販路を開拓するため、企業とタイアップして給食向けに加工品の開発を
行う。給食向け食材は衛生管理基準が特に高いため、当分の間は原魚を水産加工業者に提供し加
工を行う。
⑧ 自己漁獲物の加工品開発(継続)
漁協は、令和元年に新設した水産加工場を活用し、鮮魚をフィレ状に加工した製品の飲食店向
け販売を開始する。漁協が原魚をまとめて買い上げるため、魚価の向上が期待できる。そして、
更なる加工を加えた調理用素材の販売に向け「仕出し業」の許可取得を念頭に、漁業者と漁協職
員がキンメダイ・サワラ・シラスを利用した試作品製作にあたっている。開発した加工品は、ま
ずは漁協青壮年部等がイベントで販売することで漁業収入増加を目指す。
⑨ 榛南海域の磯焼け対策と潜水漁業の再開(継続)
榛南磯焼け対策活動協議会で検討・決定された事項について、漁業者が主体となり、県水産・
海洋技術研究所の協力のもと、サガラメ・カジメの母藻の投入や種苗生産・中間育成を行うとと
もに、食害魚であるアイゴの駆除を行うことにより、漁場造成と漁獲量の増大を図る。現在、相
良沖のカジメ藻場は順調に回復しており、アワビなどの磯根資源も多く確認されていることか
ら、青壮年部が主体となり、潜水器漁業を試験的に行い、漁業再開及び漁業収入の向上を目指す。
⑩ 資源管理型漁業の推進(継続)
漁協及び漁業者は、県・市町の協力のもと、マダイ・ヒラメなどの種苗放流を行うとともに、
小型魚の放流についても引き続き実施し、資源管理型漁業を対象漁業者で推進していく。
⑪ 担い手対策(継続)
漁協は、引き続き後継者確保のため、水産高校に積極的に働きかけを行うとともに漁業就業フ
ェア等を活用し、国や県の支援制度を活用しながら若手就業者の確保に努める。
【漁業コスト削減のための取組】
〈全体〉
① 漁業経営セーフティネット構築事業(継続)
燃油高騰の備えとして、当地域の全漁船に対し漁業経営セーフティネット構築事業の活用を呼
び掛ける。現在、燃油価格は下落しているが、今後いつ高騰するか不透明な状況であり、未加入
者に対しては加入するよう、現加入者には加入を継続するよう指導する。
② 省エネ航行(継続)
漁場まで、または寄港時の減速航行を全漁業者で行うようにするとともに、船底・舵・プロペ
ラ等の船底清掃による付着物の除去を積極的に実施し、燃油消費量の削減を図る。
③ 漁獲共済・積立ぷらす(継続)
漁協は不漁による収入減少の備えとして、漁業者に対して漁獲共済・積立ぷらすの加入を推
進する。
〈遠洋・近海カツオ漁業〉
④ 19 トン型近海カツオ漁船の導入(継続)
近海カツオ漁業者は、漁業永続化を念頭に、現在使用している 119 トン型中型船から 19 トン
型小型漁船への転換を検討する。現段階では 119 トン型船での経営維持は可能と判断しているた
め、事前準備として当地域周辺の 19 トン型漁船の経営状況について情報収集を行い、省人化・
省エネ化を図ることによる効率的な操業体制の構築を目指す。
また、漁協は、漁業収入増加を目指し近海カツオ一本釣漁業への参入を検討している沿岸漁業
者に対して、国の補助事業(漁船リース事業・もうかる漁業創設支援事業)を活用した、漁船整
備等のサポートを行う。
○漁協合併に伴う御前崎・地頭方の両魚市場の統合の実現に向けて、漁協、漁業者、仲買人、行政等の関係者により協議し、平成29年度に統合実現を目指す。これにより、分散していた魚と仲買人を一元集中させ、衛生的かつ効率的な施設の新設により、鮮度の向上・魚価の向上等を可能とし、漁業所得の増加と漁協経営の合理化・安定化を図る。
○全漁業者及び漁協が中心となり、「御前崎カツオ祭り」「吉田シラスマーケット」等のイベントを、市町・観光協会等と連携して積極的に開催することにより、地元水産物のPR・消費拡大、魚価の向上、地域の活性化を図る。
○漁協女性部を中心として、地元小学校・学校給食センター等における魚料理講習会を積極的に開催することにより、地元水産物使用を推進し、魚食普及に取り組む。又、地元幼稚園・小中学生等を対象として「チリメンモンスター探し(ちりめんに混ざっている小さなカニやエビ探し)」や市場見学会、体験乗船等を実施し、水産業に対する理解を深め、地元水産物の消費拡大を図る。
○漁協青壮年部有志等により自己漁獲物(キンメ・シラスなど)の加工作業を行い、付加価値を付けた加工品等の販売による漁業収入増加を目指し、試作品の作成や具体的な販売方法、販売先の検討を行う。
<遠洋・近海カツオ漁業>
○遠洋カツオ漁業において、もうかる漁業創設支援事業(平成27年度~31年度まで実施)を活用し新船建造に着手する。これにより、操業効率を高め、経営の安定化を目指すとともに、労働環境・船内環境の改善・向上により新規就労者・若年層の雇用促進を図る。
○近海カツオ漁業において、国の外国人技能実習制度を活用し、平成22年度より行っているインドネシア技能実習生の受け入れを継続し、漁業者が外国人実習生に対する職業訓練・技術指導を実施する。本取組は、雇用船員の確保対策等にも寄与することから、漁船経営の継続維持・安定化にも資する。
<シラス船曳網漁業>
○シラス船曳網漁業は、漁協合併時に旧相良所属9カ統、旧地頭方所属2カ統がそれぞれ吉田、御前崎への水揚統合を行っており、現在、大量水揚時には、吉田、御前崎それぞれにおいて水揚げ金額のプール計算を実施している。本取組を今後も継続していくことにより、魚価の安定(下落防止)を図る。
○鮮度落ちしやすいシラスの品質向上を図るため、漁業者が一網当たりの短時間操業や船上選別に取り組むことにより、魚価の向上を図る。
<定置網漁業>
○定置網で大量に漁獲された低利用魚・未利用魚の付加価値向上を図る。具体的には、他の県内定置網漁業者と連携し、学校給食への売り込みや販路の拡大を図る。
<沿岸漁業(刺網漁業、一本釣り漁業、採介藻漁業)>
○榛南漁場の磯焼け対策として、榛南磯焼け対策活動協議会で検討・決定された事項について、漁業者が主体となり県水産技術研究所の協力のもと、サガラメ・カジメの母藻の投入や種苗生産・中間育成を行うとともに、食害魚であるアイゴの駆除を行うことにより漁場造成と漁獲量増大を図る。現在相良沖のカジメはほぼ復活してきているので、これを御前崎沖まで拡大させ、磯焼け対策の最終目的であるアワビ・サザエ資源の回復を目指す。(藻場が大規模に消失する前、昭和63年には当該海域に8,000ha程度の藻場が造成しており、昭和63年のアワビ・サザエの水揚げ高は約2億円あった。平成25年の水揚げ高は6百万円まで減少しており、最終目的として、平成35年頃までに藻場回復および水揚げの回復に一定のめどを立てることを目指す。)
○県榛南地域栽培漁業推進協議会が主体となり、マダイ・ヒラメ等の種苗放流を継続して実施していくとともに、御前崎市と連携し、地元特産品である「クエ」のPR・放流等を実施していく。
○刺網漁業者がイセエビ稚魚の中間育成・放流を実施することにより、資源保護・増大、漁獲向上を図る。
○一本釣り漁業者が深海魚等(ギンアナゴ、モウソウなど)の未利用魚について、新たな調理方法の開発・地元農産品等とのタイアップ等により、新たな販路の開拓を図る。現在、御前崎市と連携し、専門の調理人に新製品開発の可能性を研究してもらうため、原魚の無償提供を行っている段階であり、具体的なめどが立ち次第、随時その魚種から実現化を図る。
JF・団体名 | 南駿河湾漁業協同組合 |
住所 | 〒437-1623 静岡県御前崎市港6131 |
電話番号 | 0548-63-3111 |
「浜の活力再生プラン」(通称「浜プラン」)は、2014年に始まった、水産業の活性化のための改革の取組です。地域によってさまざまに異なる水産業・漁業を振興させることを目指して、それぞれの漁村や地域(=「浜」)の現状に合わせて考えられた取組計画を「浜プラン」と呼びます。
浜プランは、漁業者や市町村を中心に組織された「地域水産業再生委員会」が、課題・計画・目標を見据えて立案します。
その大目標は、「漁業所得の10%アップ」。収入を向上させる取組、コストを削減する取組など、多種多様な具体的なプランが実践されており、2017年8月現在、北海道から沖縄まで、全国で640を超える浜プランが策定されています。
浜ごとに策定される浜プラン。浜の数だけ課題があり、取組が行われています。大きくは以下のような取組が全国の浜で取組まれています。
<収入向上の取組>
高鮮度出荷・加工品開発、直販・輸出など
<コスト削減の取組>
省エネ機器の導入・協業化・船底清掃の取組実施など
浜プランは、「地域活性化のための処方箋」です。
各地域が抱える課題に対し、漁業者と市町村がタッグを組んで自ら考えた解決策を実践することに、浜プランの本質があります。漁業や水産業の改革によって地域全体を元気にすること、「地域創生」に貢献することが、それぞれの浜プランの役割です。
付加価値向上 | 生産・流通 | 外食・観光 | 消費拡大 | 計 | 参考 各地の浜プラン | |
---|---|---|---|---|---|---|
北海道地区 | 32 | 16 | 7 | 33 | 北海道 | |
東北地区 | 62 | 31 | 3 | 22 | 青森県、岩手県、宮城県、秋田県 山形県、福島県 | |
関東地区 | 70 | 40 | 16 | 13 | 茨城県、千葉県、東京都、神奈川県 | |
北陸地区 | 24 | 12 | 4 | 19 | 新潟県、富山県、石川県、福井県 | |
東海地区 | 23 | 19 | 13 | 14 | 岐阜県、静岡県、愛知県、三重県 | |
近畿地区 | 30 | 11 | 10 | 33 | 滋賀県、京都府、大阪府、兵庫県(日本海側)、 兵庫県(瀬戸内海側)、和歌山県 | |
中国地区 | 32 | 10 | 15 | 44 | 鳥取県、島根県、岡山県、広島県、山口県 | |
四国地区 | 40 | 53 | 5 | 75 | 徳島県、香川県、愛媛県、高知県 | |
九州・沖縄地区 | 73 | 59 | 41 | 67 | 福岡県、佐賀県、長崎県、熊本県、大分県、宮崎県、鹿児島県、沖縄県 | |
計 |