浜プランの取組地区数
5
8
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地区
※2022年3月末時点
浜プランの取組地区数
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地区
※2022年3月末時点
取組概要 | カレイ漁場開拓、ハバノリの新規養殖、サゴシ高鮮度加工品の開発 |
キーワード | 蓄養 高鮮度ラベル 海女 |
販路 | 域内流通 |
取組タイプ | 未利用・低利用魚 |
魚種 |
イワガキ ズワイガニ シロイカ カレイ サワラ |
1.水産資源と漁場の管理による持続的生産体制づくり
1)資源管理の高度化
①ズワイガニ資源管理の高度化
・賀露地区の沖底漁業者は、鳥取県沖合底曳網漁業協会、水産試験場と協力して、科学的知見に基づいたズワイガニの資源管理高度化を進める。
2)漁場造成による資源管理
①フロンティア漁場の整備と管理
・賀露地区の沖底漁業者は、国・県が整備するフロンティア保護育成礁(H30年度から新規11群を整備)に対し、造成箇所等整備に関する協力を行う。また、保護育成礁周辺の自主禁漁など保護効果を高める資源管理を行うよう努めることで、フロンティア漁場の有効活用を行う。水産試験場は保護育成礁の効果調査に協力し、保護効果を定量的に把握する。
3)漁場環境の改善による資源管理
①イワガキ礁の資源管理
・泊地区の漁業者と栽培漁業センターは、イワガキ礁56基に対して効率的な清掃方法を用いて、稚貝の付着促進を図る。また、栽培漁業センターは、イワガキ稚貝の付着や食害の状況などの経過を観察し、清掃の効果を把握する。
②バイの資源管理
・福部地区、賀露地区、青谷地区の漁業者は、バイの産卵時期に合わせて産卵器を20器設置する。また、賀露地区は漁獲サイズの自主規制を強化し、殻高4cm未満のバイを特定の海域に再放流する取組みを開始する。
4)種苗放流による資源管理
① キジハタの資源管理
・福部地区、賀露地区、酒津地区、浜村地区、夏泊地区、青谷地区、泊地区の漁業者は、キジハタ種苗12,000尾を放流するとともに、操業時に全長27cm未満の魚を漁獲した場合は再放流を行い、小型魚を保護する。
② アワビ・サザエの資源管理
・福部地区、賀露地区、酒津地区、浜村地区、青谷地区、泊地区の漁業者は、アワビ・サザエ種苗放流事業に対する種苗代金の確保方法を検討し、種苗放流による資源維持の継続と自立化を目指す。
5)藻場の維持管理
①海藻移植と食害生物駆除による藻場の維持管理
・浜村地区、青谷地区、泊地区の漁業者は、食害生物(ウニ類)の駆除を行う。また、浜村地区と泊地区の漁業者は、アラメ種苗を20ヶ所ずつ移植し、藻場の維持管理に努める。
2.漁業機能の維持・向上による持続的生産体制づくり
1)漁獲機能の高度化
①代船建造の促進
・賀露地区の漁業者は、国・県・市の支援制度を活用するため、情報収集及び高船齢となっている沖合底びき網漁船1隻の代船建造計画の検討を行う。
②漁労機器の強化
・沿岸漁業者は、機関及び機器整備を6隻(機関1隻・機器5隻)について行い、漁獲能力の向上を図る。
2)漁港機能の維持管理
①漁港浚渫・施設管理による機能確保
・県、市がそれぞれ管理する漁港(県:2港、市:5港)の堆砂浚渫と漁港施設の保守を継続し、出漁日数や港内養殖水域の確保に務める。
②鳥取港内の機能維持
・鳥取県漁協は、鳥取県及び国交省に対して、鳥取港の静穏化と河川流出ゴミの根本的な防止策の要望活動を行う。
・県は、大雨、台風時に千代川から木々等が港内に流入することに対し漁船を出港可能な状態に保つため、オイルフェンス等の設置等流入防止対策を検討する。
3)漁業就業者の確保
①乗組員の雇用拡大
・鳥取県漁協は、鳥取県の研修支援制度を活用して、沖合底びき網漁業(賀露地区)と小型定置網(夏泊・泊地区)の乗組員の確保に務める。
②新規就業者確保活動の強化
・鳥取県漁協と鳥取県経営支援協議会は、県の支援制度を活用して、就業フェアやホームページ等で積極的な漁業研修生の募集と面談を重ねるとともに、受け入れた研修生への支援・管理を徹底して、新規就業者の確保に取り組む。
・平成31年度には、沿岸漁業研修生2名の支援を行うとともに、新たに1名の研修開始を目指す。
③沖底船員資格の取得促進
・鳥取県漁協は、沖合底びき網漁船乗組員の要望に応じて、国の支援制度を活用しながら、海技士資格講習会を開催する。
3.水産物の生産拡大による漁業収入の向上
1)漁場と資源の開拓
①カレイ類の新規漁法と活魚化の普及
・栽培漁業センターは、賀露地区の漁業者と連携して県東部の深場漁場を利用したカレイ類の延縄試験操業を開始する。
②小型定置網の機能強化
・鳥取県漁協は、夏泊地区と泊地区の小型定置網の漁況を見ながら、敷設位置の見直しを検討するとともに、漁労機器等の強化を目指す。
③港内養殖生産の拡大
・福部地区の漁業者グループ(海女組)は、冬期に遊休化する漁港内を活用したワカメ養殖の生産拡大(収量:1トン)を目指すとともに、栽培漁業センターと連携して新たにハバノリ養殖に着手する。
2)未利用資源の開拓
①未利用海藻の掘り起こし
・福部地区、酒津地区、泊地区の漁業者グループは、未利用だったアカモク等の加工販売(平成29年:10トン)による増収(平成31年目標:11トン)を目指す。
②港内畜養による付加価値向上
・栽培漁業センターと青谷地区の漁業者は、マアジ等の港内における飼育試験と販路等の検討を連携して行う。
4.魚価の向上による漁業収入の向上
1)鮮度・品質向上
①墨を処理したイカの水揚拡大
・水産試験場と賀露地区の漁業者は、イカ(白いか・コウイカ等)の墨処理を連携して拡大し、魚価向上を目指す。
②イワガキ陸上保管手法の見直し
・鳥取県漁協と栽培漁業センターは、これまで経験や所有施設の都合で個々に行われてきたイワガキの保管技術のマニュアル化のための試験を開始する。
③活ズワイガニの保管技術のマニュアル化
・水産試験場は、鳥取県の活ガニの品質向上を目的とした「活ガニの保管条件マニュアル」の作成に向け、適正な保管条件等を把握する試験を実施する。
2)加工品開発
①定置網の低価格魚サゴシの高鮮度処理加工
・鳥取県漁協は、夏泊地区と泊地区の小型定置網に入網するサワラ若魚(サゴシ)の付加価値向上を目的にした高鮮度加工品「一汐さごし」の開発試験に着手する。
②沖合底びき網船凍品の拡充
・賀露地区の沖底漁業者は、消費者ニーズの高いイカ類(ホタルイカやスルメイカ等)について船凍品の可能性を検討、試験出荷等を行う。
3)ブランド化
①高鮮度ラベルの拡大
・賀露地区の沖底漁業者は、カレイ類やハタハタ等について、漁獲直後に滅菌冷海水とシャーベットアイスで洗浄・急速冷却しているものについて、高鮮度出荷の取組みをPRするラベルを魚箱へ添付する活動を、5隻全船での導入を目指す。
②ズワイガニ産地証明タグの取り組み拡大
・賀露地区の沖底漁業者は、従来の船名入りブランドタグ(赤タグ)を装着していない松葉がにに産地証明タグを取り付け、ブランド力強化を図る。あわせて雌ガニのきれいな大型規格にもタグ装着し、10%の漁獲金額向上を図る。
③ハタハタ大型魚のブランド化
・賀露地区の沖底漁業者は、前年漁期から見直したハタハタのサイズ規格により、ブランド魚「とろはた」を積極的に出荷し、ブランドの再強化を図る。
④キジハタのブランド化
・栽培漁業センターはキジハタの脂肪・旨み(イノシン酸、グルタミン酸等)及び健康成分(ヒドロキシプロリン等)の測定を行い、あわせて福部地区、賀露地区、酒津地区、浜村地区、夏泊地区、青谷地区、泊地区の漁業者と連携してエアー抜き技術精度を向上させる。
5.販路拡大による漁業収入の向上
1)新たな販路の開拓
①海女の店の拡大
・福部地区の漁業者グループ(海女組)は、鳥取市内の飲食店(1軒)と連携して、「海女の店」のメニュー開発を行う。
2)直売の推進
①朝市・イベント等による直売の拡大
・夏泊地区の漁業者は、定置網の漁獲物による直売(全水揚日)を継続する。泊地区の漁業者は、開催日(1回/週)の拡大を目指す。
②道の駅・観光集客施設等による直売の拡大
・福部地区の漁業者グループ(海女組)は、近隣の道の駅(1店)、鳥取市内の観光集客施設(2店)での海藻加工品の販売を目指す。
3)魚食普及
①料理講習会による地元消費の拡大
・鳥取県漁協と鳥取県漁業士会は連携して、鳥取市内の中高等学校(3校)で地魚を使った料理講習会を開催し、魚食の普及に努める。
②水産イベントによる地魚のPR
・鳥取県漁協は、賀露地区及び関西において、松葉がにや地魚をPRするためのイベント(3回)を開催し、県産魚の普及に努める。
③ 印刷物・マスコミを活用した地元水産物のPR
・鳥取県漁協は、鳥取県産魚PR推進協議会と連携して、県産魚をPRするポスターを配布するとともに、TVや新聞、雑誌に積極的に話題提供して地魚の知名度向上に務める。
(1)高付加価値水産物の安定供給プラン
①水産資源の適切な管理と増殖による生産力の増大の取組
キジハタ稚魚1万尾の試験放流をを通じた放流方法や放流効果の検証。小型魚の再放流。バイ産卵器の設置。
アワビ・サザエの資源増大に向けた藻場造成。プレート式のアラメ株の移植。アカモクなどのスポアバック設置。
・小型魚漁獲回避に向けた漁網改良と導入。
②漁港・漁場の整備の取組
イワガキ増産に向けたイワガキ礁の整備。出漁日数確保に向けた港湾の堆砂浚渫、施設の長寿命化対策工事の要望。
ズワイガニとアカガレイの保護を目的とするフロンティア魚礁整備拡充に向けた協議。
定置網新設。冷蔵庫の新設による水産物の高鮮度保管。
③新規着業者の受け入れ体制の再整備の取組
就業者フェア開催による新規就業者の確保。漁業就業希望者6名の雇用。体験漁業を通じた漁業人材の確保と育成。
(2)生産地、生産者の顔が見える地域ブランド創出プラン
①漁村文化の積極的な情報発信の取組
中学校、短期大学での魚の料理講習会をを通じた魚食普及。
乗船体験やカニフェスタ開催時における地域ブランドである白イカ(ケンサキイカ)と松葉がにのPRと販売促進。
地元産魚介類PRに向けた、関西圏からの観光客をターゲットとした豪快朝飯ツアーの企画。
漁獲直後の滅菌冷海水とシャーベットアイスで洗浄・急速冷却しているカレイ類・ハタハタの高鮮度出荷PR(ラベル添付)。
サワラの神経締め、アジ、ハマチの血抜き処理等の高鮮度出荷。
付加価値魚(滅菌海水で洗浄、シャーベット氷で急速冷却、神経締め等)の紹介冊子の作成準備。
地元産水揚魚の消費者向け認知度向上に向けた仕組み作り(松葉がにがモデル)。
養殖ワカメや養殖イワガキの地元販売およびイベント販売。
②生産者による直売の推進の取組
地元産魚の販売に向けた取組の新規開始。
赤イカ(ソデイカ)の一次加工。
(3)地域の特性を活かした新しい商品の供給プラン
①未利用資源の有効活用の取組
アカモク販路拡大に向けたスポアバック方式によるアカモク畑の造成試験。養殖ワカメ、天然ワカメ採藻の新規取組。
未利用魚と低価格小型魚の加工方法の検討。
②活魚出荷・船凍品の拡充の取組
白イカ(ケンサキイカ)を中心とした活イカ取扱い技術の事前調査。
操業前半の漁獲物の高付加価値化や遠隔消費地向け新商品開発に向けた船上凍結の試験の実施。
JF・団体名 | 鳥取県漁業協同組合(福部地区、賀露地区、酒津地区、浜村地区、夏泊地区、青谷地区、泊地区) |
住所 | 〒680-0908 鳥取県鳥取市賀露町西4-1806 |
電話番号 | (0857)28-0111 |
「浜の活力再生プラン」(通称「浜プラン」)は、2014年に始まった、水産業の活性化のための改革の取組です。地域によってさまざまに異なる水産業・漁業を振興させることを目指して、それぞれの漁村や地域(=「浜」)の現状に合わせて考えられた取組計画を「浜プラン」と呼びます。
浜プランは、漁業者や市町村を中心に組織された「地域水産業再生委員会」が、課題・計画・目標を見据えて立案します。
その大目標は、「漁業所得の10%アップ」。収入を向上させる取組、コストを削減する取組など、多種多様な具体的なプランが実践されており、2017年8月現在、北海道から沖縄まで、全国で640を超える浜プランが策定されています。
浜ごとに策定される浜プラン。浜の数だけ課題があり、取組が行われています。大きくは以下のような取組が全国の浜で取組まれています。
<収入向上の取組>
高鮮度出荷・加工品開発、直販・輸出など
<コスト削減の取組>
省エネ機器の導入・協業化・船底清掃の取組実施など
浜プランは、「地域活性化のための処方箋」です。
各地域が抱える課題に対し、漁業者と市町村がタッグを組んで自ら考えた解決策を実践することに、浜プランの本質があります。漁業や水産業の改革によって地域全体を元気にすること、「地域創生」に貢献することが、それぞれの浜プランの役割です。
付加価値向上 | 生産・流通 | 外食・観光 | 消費拡大 | 計 | 参考 各地の浜プラン | |
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北海道地区 | 32 | 16 | 7 | 33 | 北海道 | |
東北地区 | 62 | 31 | 3 | 22 | 青森県、岩手県、宮城県、秋田県 山形県、福島県 | |
関東地区 | 70 | 40 | 16 | 13 | 茨城県、千葉県、東京都、神奈川県 | |
北陸地区 | 24 | 12 | 4 | 19 | 新潟県、富山県、石川県、福井県 | |
東海地区 | 23 | 19 | 13 | 14 | 岐阜県、静岡県、愛知県、三重県 | |
近畿地区 | 30 | 11 | 10 | 33 | 滋賀県、京都府、大阪府、兵庫県(日本海側)、 兵庫県(瀬戸内海側)、和歌山県 | |
中国地区 | 32 | 10 | 15 | 44 | 鳥取県、島根県、岡山県、広島県、山口県 | |
四国地区 | 40 | 53 | 5 | 75 | 徳島県、香川県、愛媛県、高知県 | |
九州・沖縄地区 | 73 | 59 | 41 | 67 | 福岡県、佐賀県、長崎県、熊本県、大分県、宮崎県、鹿児島県、沖縄県 | |
計 |