浜プランの取組地区数

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※2024年3月末時点

国頭漁業協同組合

国頭地区地域水産業再生委員会

地域の産業とともに成長を
「食べられない魚」も活かす。観賞用魚の輸送販売!

全国でも珍しい観賞用魚の出荷販売をはじめ、水族館を運営する組織のノウハウと漁業の経験・知恵を融合させ、様々な事業を展開する沖縄県・国頭地区地域水産業再生委員会。
今回は、地域産業全体に大きな効果をもたらしている当地区の取組をご紹介!

目次

沖縄本島の最北端、国頭村

沖縄本島の最北端に位置し、村の面積の80パーセント以上を森林が占める国頭村。本島屈指の美しさを誇るビーチや天然記念物のヤンバルクイナ・ノグチゲラが生息することでも有名だ。

国頭村は、隣接する東村と併せて、セリ市場を開設している辺土名漁港を中心として宜名真漁港、安田漁港、浜漁港、東漁港、慶佐次漁港の計6つの漁港を有し、97名の漁業者が、定置網、ソデイカ、マグロ、矛突き、潜水器、延縄、一本釣り、刺網漁業等多種多様な漁法で漁業を営んでいる。
一帯は亜熱帯気候に属し、漁獲される魚種も多様。ハタ類一つをとっても、写真のように幾種類ものハタが水揚げされるほどだ。

多種多様のハタ:浜の活力再生プラン推進ブロック会議 事例報告資料(2018年11月27日開催)

定置網にかかる食用外の魚の活用を

国頭漁業協同組合の定置網漁は、1989年の台風で定置網が大破して休業を余儀なくされた歴史がある。紆余曲折を経て、2012年に操業を再開し、〆・裁きや売り方の工夫などによって順調に推移してきたものの、近年の燃油・資材価格の高騰などにより、自営の定置網漁業は厳しい経営状況にあった。

そこで検討されたのが、定置網にかかる食用以外の魚を活用することだった。沖縄の美しい海と回遊する魚の特徴から、観賞用魚販売への挑戦が始まった。

定置網漁獲の様子:浜の活力再生プラン推進ブロック会議 事例報告資料(2018年11月27日開催)

観賞用魚と活魚出荷に活路を見出す

主に定置網にかかるサメ・エイ類や熱帯魚を観賞用魚として販売するために相談を持ちかけたのが、当再生委員会のオブザーバーであり、沖縄美ら海水族館を運営する(一財)沖縄美ら島財団だ。お互いにwin-winの関係を構築できそうなことから、業務提携を進め、第一弾として韓国の水族館へ、次いで名古屋、大阪、東京都と国内の主要水族館への販売が行われた。

財団側は魚を傷付けずに捕獲する方法や輸送時の水質管理などの技術・ノウハウを提供。一方、漁業者側は時期や漁場ごとに獲れる魚を把握していることから、消費者が求める観賞魚の漁獲を援助する役割を果たした。

活魚販売では活魚運搬車を活用。都市部の飲食店をはじめとして、販売先を地道に開拓している。

観賞用魚の蓄養・出荷等の様子:浜の活力再生プラン推進ブロック会議 事例報告資料(2018年11月27日開催)

多方面で事業拡張、地域産業全体に大きな効果

好調な販売をさらに拡大させるため、2015年10月、国頭漁業協同組合と沖縄美ら島財団との共同出資で、観賞用魚の捕獲・蓄養・輸送・販売を行う子会社、OKINAWA SAKANA COMPANY(OSC㈱)を設立。観賞用魚販売に加えて、食用の活魚販売、水槽のリース・管理事業など独自性のある事業を展開している。

また、OSCの設立に先立って、活魚出荷のノウハウを活かし、2014年4月、定置網漁業で獲れた食用魚を漁獲されたその日に提供する直営食堂「国頭港食堂」をオープン。鮮魚では味わえない新鮮さを売りにした料理が好評を得ている。

1枚目…㈱OSC観光事業の様子:㈱OSC/HPより

2枚目…直営食堂「国頭港食堂」:浜の活力再生プラン推進ブロック会議 事例報告資料(2018年11月27日開催)

取組効果

取組の結果、活魚は鮮魚での流通に比べ、概ね500円/㎏以上の付加価値を付けることが出来た。

漁業所得は、2017年度には定置網の大規模修繕の実施による水揚げの減少のため基準年対比80%台となっているものの、2016年度までは設定した目標数値を大幅に上回る結果を出している。

この結果について、国頭漁業協同組合職員の池原氏は、「一つの魚種に的を絞って特産物として特色を出していくやり方では資源の減少を招くことにもなる。多様な魚種に見合う新しいやり方が必要だった」と指摘する。

浜の活力再生プラン推進ブロック会議 事例報告資料(2018年11月27日開催)

漁業だけでなく、周辺の産業にも経済効果を

定置網漁業が再開されて以降の取組は、全国でも稀に見る観賞用魚の輸送・販売事業、地元財団との共同出資による子会社設立、居酒屋チェーンへの販売、定置網漁体験ツアーなど観光業にも参画するなど、多方面で事業を拡張し、地域産業に大きな影響と効果をもたらしている。

その背景には、関係者の努力に加え、地元水族館や民間企業、県など行政の存在があり、これらの強固な連携が取組みの推進力になっている。

国頭村は、地理的条件や漁業の地域特性を味方に、地域ぐるみで独自の発展をし続けている。

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