浜プランの取組地区数
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8
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地区
※2024年3月末時点
浜プランの取組地区数
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※2024年3月末時点
糸島漁業協同組合
糸島市地域水産業再生委員会
目次
糸島漁業協同組合では従前より水産物の地産地消に向けた取組を推進しており、2006年には観光協会とともに直売所「JF糸島 志摩の四季」を設立した。2013年度には、カキ養殖業者自らが各漁港に「カキ小屋」を設立、シーズンを中心に地元福岡のテレビ等で紹介されることから、10月~4月の時期は大勢の観光客と地元の人々で大変な賑わいを見せている。
一方で糸島漁業協同組合は、水揚量の減少等から限りある資源を有効に利用し、その価値を最大限に高める必要性を感じていた。そこで、漁獲の増加していたサワラや来場者が年々増えるカキ小屋から排出されるカキ殻などに着目し、今後の漁業を持続的に発展させるため、事業面や地理的なメリットを最大限に活かす仕組み作りに注力している。
JF糸島「志摩の四季」、カキ小屋
現在、組合全体の総水揚量は約3,100t(2018年3月末現在)のうち約4割が直販事業向けとなっており、これには、直売所の事業JF糸島「志摩の四季」の取組が大きく寄与している。
当直売所の一番の特徴は、魚の超鮮度だ。鮮魚に関して出荷者は組合員のみとし、鮮魚は漁獲後直ちに陳列されその翌日入れ替えられ、売れ残ったものは出荷組合員が持ち帰る仕組みとなっている。
また当直売所は委託販売の形態をとり、漁業者は自ら鮮魚をパック詰め・値付け・陳列することに加え、陳列棚は8ある組合の支所毎にレーン分けされ、商品の品質向上を図るため、漁業者間での神経抜き等の技術やパック方法、値付け等について競争を促している。
この他、陳列棚の上にはモニターが設置され、消費者は来店前からホームページで店内商品の品揃え状況を確認できることや、直売所は購入した鮮魚を購入者の希望で無料で捌くサービスを行ったりと、訴求力の向上やリピーターの確保のための取組が随所に見られる。
漁業者は自らパックする、支所毎にレーン分けされている
糸島漁業協同組合は、冬期の時化(しけ)による漁業収入の安定のための対策としてカキの養殖を導入し、併せてカキ小屋の運営・直接販売を開始した。
カキ小屋が糸島の観光名物となった理由の一つは、その積極的なPR活動の成果だ。西日本鉄道や熊本電気鉄道とタイアップし、外国人のインバウンド客の誘致にもつなげている。また、日本郵便やヤマト運輸等とタイアップし、年間25,000パック程度を直売所より発送する他、日本郵便には郵便局にカキ小屋のパンフレットを設置してもらっている。各社との連携による相乗効果も狙っている。
また、カキ小屋では地元中学生の職業体験の受入を行っている。直近では全体で45人を受け入れたが、人気を博し、中学校から受入の増員を依頼されるほどだ。カキ小屋に愛着を持ってもらい将来のサポーターを増やすため、参加者にはカキをお土産に持たせたり、カキの昼食を提供するなどの工夫をする。
その結果、現在、4漁港にてカキ小屋27店舗と2漁港にて3軒のカキ販売所がそれぞれの漁業者により運営され、カキ小屋来場者数は53万人(2017年度)、カキ小屋におけるカキ売上高は5億数千万円に達するほどとなった。
焼きガキは1㎏1,000円
一方、カキ養殖が定着し、規模拡大・生産量が増加するにつれ、排出されるカキ殻が増え、生産者や自治体はその処理コストに悩まされていた。年間に廃棄されるカキ殻は1,200tで、そのうちカキ小屋から廃棄されるものは500tほどに達する。
そこで糸島漁業協同組合は、県・市・九州大学と共にカキ殻・リサイクルプロジェクトを設立。協議と試験を重ね、カキ殻を使用した土壌改良剤「シーライム」が完成した。その後、「水産物リサイクル推進協議会」が発足。カキ小屋でのカキ殻の回収・分別は漁業者、カキ殻肥料の開発はJA糸島、肥料会社、県が担当することとなった。地域一体での環境負荷の低減の取組は糸島のイメージアップにつながっている。
シーライム用のカキ殻
糸島の加布里(かふり)干潟は、古くから貝類の好漁場だった。一時的に資源が枯渇していたものの、平成に入りハマグリの資源の回復が見られたのを契機に、漁業者自らが組織を作り(ハマグリ会)、厳しい資源管理に取り組んだ。
資源管理の内容は、①採捕はハマグリ会の会員のみ、②採取期間は11月から3月の大潮(満潮と干潮の潮位差が大きくなる時期)時に限定、③操業時間は1日3時間まで、④採取量は1日10㎏まで、⑤採捕は殻長が県規制の4㎝を上回る5㎝以上のものに限定、の5つが挙げられる。この管理体制が奏功し、現在、漁獲量は10~13t程度まで増加した。
また単価向上の取組として、ハマグリでは日本初のマリンエコラベルの取得や、高単価で取引される関西方面への出荷、地元でのPR活動や宅配業者との相対取引を増やすなどを積極的に行い、単価は取組前(1998年)に比べ、倍の2,000円/㎏(2017年)に上昇した。
「筑前海加布里産天然蛤」
福岡市場においてはフグやヒラメといった魚と比べ、サワラの付加価値向上や魚価向上が課題とされていた。そこで、糸島漁業協同組合では、取引価格水準の高い岡山市場に焦点を当てた 。同市場の価格や需給の動向を入念に調査し、身が固く締まった状態を維持する品質保持が重要であることを分析。これを踏まえ、漁獲後の船上での処理から冷却、箱詰めまでの過程にかかるマニュアルを作成した。
この高鮮度処理したサワラを「特選本鰆」として統一規格で出荷することや、出荷時に漁協承認のタグとシールを貼り他地域と差別化を図ることで、サワラの高付加価値化に努めている。
また、地元では「糸島さわらフェア」を開催し、「特選本鰆」を使った料理を地元の飲食店18店舗にて提供するなどPR活動も行っている。
その結果、サワラの単価は通常処理の出荷の981円/㎏に対し、高鮮度処理を施したサワラは1,156円/㎏で取引されるまでになった。また、福岡市場でもこのサワラが評価されるようになったことから、現在は出荷量の一部を福岡市場に戻すことも出来、出荷コストの軽減も図れるようになった。
高鮮度処理されたサワラ、「特選本鰆」タグ
糸島漁業協同組合は、以上のような様々な取組を行っているが、漁船漁業や養殖業、女性部や後継者等の幅広い漁業者が参加した取組であり、漁業所得向上のみならず、漁業者全体の意識向上に繋がり、まさに浜の活力となっている。
さらに、地元JAや学校、異業種を巻き込み、地域全体の連携、活性化に繋がり、県内外から注目を集めているところだ。
糸島漁業協同組合 吉村参事は「今は市やマスコミでJFというワードが頻繁に使われている。JFの知名度が向上していることを実感している」と話す。漁業を核として地域活性化が実現している事例といえよう。
「浜の活力再生プラン」(通称「浜プラン」)は、2014年に始まった、水産業の活性化のための改革の取組です。地域によってさまざまに異なる水産業・漁業を振興させることを目指して、それぞれの漁村や地域(=「浜」)の現状に合わせて考えられた取組計画を「浜プラン」と呼びます。
浜プランは、漁業者や市町村を中心に組織された「地域水産業再生委員会」が、課題・計画・目標を見据えて立案します。
その大目標は、「漁業所得の10%アップ」。収入を向上させる取組、コストを削減する取組など、多種多様な具体的なプランが実践されています。
浜ごとに策定される浜プラン。浜の数だけ課題があり、取組が行われています。大きくは以下のような取組が全国の浜で取組まれています。
<収入向上の取組>
高鮮度出荷・加工品開発、直販・輸出など
<コスト削減の取組>
省エネ機器の導入・協業化・船底清掃の取組実施など
浜プランは、「地域活性化のための処方箋」です。
各地域が抱える課題に対し、漁業者と市町村がタッグを組んで自ら考えた解決策を実践することに、浜プランの本質があります。漁業や水産業の改革によって地域全体を元気にすること、「地域創生」に貢献することが、それぞれの浜プランの役割です。
付加価値向上 | 生産・流通 | 外食・観光 | 消費拡大 | 計 | 参考 各地の浜プラン | |
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北海道地区 | 32 | 16 | 7 | 33 | 北海道 | |
東北地区 | 62 | 31 | 3 | 22 | 青森県、岩手県、宮城県、秋田県 山形県、福島県 | |
関東地区 | 70 | 40 | 16 | 13 | 茨城県、千葉県、東京都、神奈川県 | |
北陸地区 | 24 | 12 | 4 | 19 | 新潟県、富山県、石川県、福井県 | |
東海地区 | 23 | 19 | 13 | 14 | 岐阜県、静岡県、愛知県、三重県 | |
近畿地区 | 30 | 11 | 10 | 33 | 滋賀県、京都府、大阪府、兵庫県(日本海側)、 兵庫県(瀬戸内海側)、和歌山県 | |
中国地区 | 32 | 10 | 15 | 44 | 鳥取県、島根県、岡山県、広島県、山口県 | |
四国地区 | 40 | 53 | 5 | 75 | 徳島県、香川県、愛媛県、高知県 | |
九州・沖縄地区 | 73 | 59 | 41 | 67 | 福岡県、佐賀県、長崎県、熊本県、大分県、宮崎県、鹿児島県、沖縄県 | |
計 |