浜プランの取組地区数
5
8
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地区
※2024年3月末時点
浜プランの取組地区数
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地区
※2024年3月末時点
重茂漁業協同組合
岩手県宮古市重茂地区地域水産業再生委員会
目次
重茂地区の主要な養殖生産物であるワカメは外洋の激しい海流に揉まれ育てられている。その新芽はワカメの中でも一番おいしいといわれていて寒中に芽吹き、養殖漁業者が1~2月の極寒のなか規格に沿った早採りわかめ「春いちばん®」を一本づつ収穫している。この貴重なワカメの新芽をおいしさと栄養をそのままに、湯通し塩蔵加工したものが「プレミアム春いちばん」だ。シャキシャキした歯ごたえが好評を博している。また、県内や首都圏で市場と消費者にニーズを調査し、規格の検討と品質の均一化を図り、増産に取り組んだ。さらに販路拡大を図った結果、2018年には累計販売額は約1億円を達成し、地域の養殖ワカメのブランド化と漁業者の収入向上に大きく貢献した。
2012年から毎年、東日本大震災のあった3月11日に復興商品として新商品を開発する取組を継続して行っている。「あわびまるごと黄金重茂カレー」や「重茂黄金焼うにプレミアムアイス」など地元の食材を使用した商品を発売している。そして今年、2020年は天然ワカメとアカモクを使用した「OMOE CHOCOLATE」を発売した。東日本大震災で被災した宮古市内の洋菓子店、岩手アカモク生産協同組合、そして重茂漁協がコラボして作り上げた、正に復興商品にふさわしい商品だ。本取組では、震災後、三陸産の水産物に対して風評被害があった中、地元水産物の情報発信を継続することで、風評被害の払拭や重茂ブランドの確立に貢献している。
漁船減速航行や、繋留中の機関停止、積載物の削減、船底やプロペラの清掃などの燃油消費量の削減策に加え、養殖干しこんぶ製造の際に用いる乾燥機の灯油削減にも取り組んだ。2015年度から国立研究開発法人水産研究・教育機構水産工学研究所、岩手大学、岩手県水産技術センター等の関係機関と連携して乾燥工程の省エネ化に向けた実証実験を実施した。2017年度には、試験結果をもとに作成したマニュアル(冊子)全養殖業者121名に配布、普及し、乾燥工程の省エネ化の推進を図った。その結果、養殖業者の省エネ対策が推進され、灯油の削減が図られた。2018年度の実績では、燃油価格高騰の影響があるなかで73,440円/人の削減効果があったと試算されている。
天恵戒驕(てんけいかいきょう)とは重茂漁協初代組合長の西舘善平氏が生み出した言葉である。天の恵みに感謝し、驕ることを戒め不慮に備えよ、という意味だ。その後、組合員、職員に対し天然の資源は有限であり、これを無計画に乱獲せず、常に新たな資源を補いながら自然と共存共栄を図ることが一番大切であると教え伝え、この教訓は、今でも重茂漁協に受け継がれている。この教訓のもと、森林や河川を守ることや、合成洗剤追放運動などが行われている。震災後も減少したアワビ等の資源回復のため、稚貝放流等を実施し、水揚げ量回復に尽力した。海中林造成などの漁場造成・給餌対策など、水産物の持続的な利用と所得向上の両立に向けて、今後も漁協と漁業者が一丸となり積極的に取り組んでいく重茂漁協から目を離せない。
「浜の活力再生プラン」(通称「浜プラン」)は、2014年に始まった、水産業の活性化のための改革の取組です。地域によってさまざまに異なる水産業・漁業を振興させることを目指して、それぞれの漁村や地域(=「浜」)の現状に合わせて考えられた取組計画を「浜プラン」と呼びます。
浜プランは、漁業者や市町村を中心に組織された「地域水産業再生委員会」が、課題・計画・目標を見据えて立案します。
その大目標は、「漁業所得の10%アップ」。収入を向上させる取組、コストを削減する取組など、多種多様な具体的なプランが実践されています。
浜ごとに策定される浜プラン。浜の数だけ課題があり、取組が行われています。大きくは以下のような取組が全国の浜で取組まれています。
<収入向上の取組>
高鮮度出荷・加工品開発、直販・輸出など
<コスト削減の取組>
省エネ機器の導入・協業化・船底清掃の取組実施など
浜プランは、「地域活性化のための処方箋」です。
各地域が抱える課題に対し、漁業者と市町村がタッグを組んで自ら考えた解決策を実践することに、浜プランの本質があります。漁業や水産業の改革によって地域全体を元気にすること、「地域創生」に貢献することが、それぞれの浜プランの役割です。
付加価値向上 | 生産・流通 | 外食・観光 | 消費拡大 | 計 | 参考 各地の浜プラン | |
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北海道地区 | 32 | 16 | 7 | 33 | 北海道 | |
東北地区 | 62 | 31 | 3 | 22 | 青森県、岩手県、宮城県、秋田県 山形県、福島県 | |
関東地区 | 70 | 40 | 16 | 13 | 茨城県、千葉県、東京都、神奈川県 | |
北陸地区 | 24 | 12 | 4 | 19 | 新潟県、富山県、石川県、福井県 | |
東海地区 | 23 | 19 | 13 | 14 | 岐阜県、静岡県、愛知県、三重県 | |
近畿地区 | 30 | 11 | 10 | 33 | 滋賀県、京都府、大阪府、兵庫県(日本海側)、 兵庫県(瀬戸内海側)、和歌山県 | |
中国地区 | 32 | 10 | 15 | 44 | 鳥取県、島根県、岡山県、広島県、山口県 | |
四国地区 | 40 | 53 | 5 | 75 | 徳島県、香川県、愛媛県、高知県 | |
九州・沖縄地区 | 73 | 59 | 41 | 67 | 福岡県、佐賀県、長崎県、熊本県、大分県、宮崎県、鹿児島県、沖縄県 | |
計 |