鳥取県漁業協同組合(中山支所、御来屋支所、淀江支所)、赤碕町漁業協同組合、米子市漁業協同組合

鳥取県西部地域水産業再生委員会

「アカモク」の活用
水福連携による雇用創出で地域活性化に貢献!

未利用海藻である「アカモク」の活用や、サワラをはじめとした魚種の高鮮度出荷、6次産業化の推進などの取組により、所得が向上した鳥取県西部地区。今回は2019年浜の活力再生プラン優良事例表彰において全漁連会長賞を受賞した当地区の取組をご紹介!

目次

広がる県内有数の磯場

鳥取県西部地域水産業再生委員会は、鳥取県西部に位置する1市2町(米子市、琴浦町、大山町)に渡る地域を対象としている。この地域には伯耆富士(ほうきふじ)とも呼ばれ、2018年に開山1300年を迎えた中国地方最高峰の大山(標高1,709m)が存在している。この大山裾野由来の伏流水・河川水がもたらす豊富な栄養塩により前浜の転石帯は県内有数の磯場となっている。このため古くから漁村が地域コミュニティの中心となっており、赤碕波止の祭りや、恵比須神社例祭、さざえ祭、恵比須祭など、漁村を中心とした祭事が毎年行われている。

沿岸漁業に支えられた鳥取西部地区

当地区には3漁協からなる5つの漁業地区(赤碕地区、中山地区、御来屋地区、淀江地区、米子地区)が存在する。それぞれ市町や組合組織も異なっているが、従前より地域協議会等を通じ、資源管理の取組等について連携を図っている。
当地区は県内でも唯一、沿岸漁業のみで構成されており、刺網漁業、定置網漁業、釣り漁業、採貝・採藻漁業の水揚げが主体となっている。また、近年、赤碕地区ではギンザケの陸上養殖が開始されるなど、新しい水産業の動きもみられている。その他、若手漁業者の受け入れを積極的に推進してきたが、漁業を取り巻く現状は厳しく、苦しい経営を強いられている漁業者は少なくない。
このような中、浜プランでは水産物の6次産業化の推進や販路開発、魚価の向上、漁場の再生と水産資源の管理による漁業生産の向上に力を入れた。

未利用海藻への着目

その中で注目されたのがアカモクだ。アカモクはやや波の穏やかな海岸付近に自生するホンダワラ類の一年生海藻で、生命力が強くわずか1年で全長5m以上になる。鳥取県沿岸にも広く自生しているが、一部の地域を除き食文化はなかった。さらには船舶の航行の妨げにもなるため、邪魔者扱いされることの多い海藻だった。古くからこの地区では多様な海藻が漁獲・利用されてきたが、近年では市場価値の高い海藻以外の利用はほとんどなくなり、食用としての価値や食文化も忘れられつつあった。しかし、最近の健康志向を背景に食用海藻への注目が高まり、生殖器床に機能性成分フコイダンを豊富に含むアカモクは健康食品として注目を浴びている。

「とっとりあかもく」で水福連携を確立

当地区ではフコイダンが豊富な先端部分のみにこだわって収穫し、食味や色、保存方法などにもこだわって商品開発を進め、「とっとりあかもく」を開発した。その結果、県内スーパーだけでなく、関西圏のデパート等でも広く活用され始めているなど販路拡大に成功し、漁業者や漁協の重要な収入源の確保に寄与した。
中山地区ではアカモクの収穫を漁業者が行い、洗浄、ミンチ加工、袋詰め等の作業を福祉作業所に委託、販売は漁協が行っている。まさに「水福連携」のモデルケースを確立した事例と言える。
また、加工業者と連携することによって、効率的な生産が可能になった。さらにその結果、短期間となっている漁期にまとまった収穫が可能となり、集中的に収益を得ることが可能となった。

アカモクの持続的利用へ

一方で、アカモクの品質と資源を確保するため、収穫時期と刈り取り部位を限定した。鳥取県漁協と県栽培漁業センターが連携し、アカモクの収穫可能量や持続可能な大量収穫のための資源管理手法の調査研究を進め、資源管理に努めている。その一環として、収穫時期を4月中旬の2週間程度に限定し、刈り取り部位を先端部分とした。先端部分は健康機能成分のフコダインが豊富であり、また収穫部位を限定することで、アカモクが再生しやすくなる。この収穫方法はアカモクが再生産されやすい方法といえる。藻場づくりなどとも組み合わせ、資源の持続利用にも取り組んでいる。また、県栽培漁業センターと連携し、アカモクの成功事例をもとに、他の未利用海藻でもあるクロモやホンダワラの有効利用を進めた。

6次産業化の推進と販路の拡大

アカモクの取組のなか、活き締めしたサワラ、活魚のキジハタの他、ケンサキイカ、サザエ、イワガキなどについて、高鮮度出荷によるブランド化に取り組んだ。特に活締めサワラのブランドの「淀江がいな鰆」は農林水産省の「フードアクションニッポンアワード2016」で入賞している。一般にサワラは鮮度低下が早く漁獲後2~3日しか刺身に使えなかったが、「淀江がいな(方言で大きい)鰆」は一本釣りしたサワラに厳格な船上活締め処理を行うことで、一週間も日持ちするほか、漁獲期間や、魚体のサイズを限定し、ほどよい脂乗りと血の嫌な臭いの減少を実現した。
また、定置網を活用した朝市の開催、学校給食などに向けたトビウオの団子加工品の開発、定置網で漁獲された小型魚の地元居酒屋への直接出荷など、6次産業化の推進と販路拡大の向上を目指した。

水産物全体への波及効果を期待

未利用海藻に着目し、異業種(福祉作業施設など)と連携しながら生産・販売体制を構築。年々取組を拡大し、計画を上回る収入を上げたことは、浜プランの大きな成果である。
同地区の第2期浜プランでは、引き続きサワラのブランド化、藻場造成、放流・資源管理、省エネ活動等効果の認められた取組について、活動を拡大・継続することとしている。さらにアワビのブランド化やウマヅラハギやマアジの港内養殖、ヒラメ・マサバの陸上養殖によるブランド化などが新たな取組として加わった。
今年はアカモクの収穫期である4月の海況があまり良くなかったことやコロナ禍の影響を受けたとのことである。しかし、アカモクの取組を中心とした資源の持続的な活用や第2期浜プランの展開に期待したい。

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