浜プランの取組地区数
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8
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地区
※2024年3月末時点
浜プランの取組地区数
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地区
※2024年3月末時点
大浜漁業協同組合
大浜地区地域水産業再生委員会
目次
当地区では熊本県では初となる漁協による海苔共同乾燥加工事業が2009年に開始され、6経営体によって利用された。このことは海上作業への専業化および休息の増加に大きく寄与し、増柵・増産、網管理の徹底に繋がりつつ、1日あたりの労働時間が18時間から13時間へ減少した。また、水産業競争力強化緊急事業の有効活用により、システム船を導入し、作業時間の短縮や作業負荷の軽減、摘採能力向上による増柵、早期摘採による病害蔓延の防止に取り組んだ。当地区での2017年のシステム船導入率は、熊本県の有明海地区全体と比べ、約2倍となる90.5%にも上った。その結果、浜プランの策定後、基準年から7%もの増柵を達成した。
その後も既存施設の乾燥機の更新だけでなく、2019年度には海苔共同乾燥加工施設の増設も行い更なる業務の効率化を目指している。
当地区では共同施設の整備だけでなく、網管理の徹底や、網洗浄システム船による夜間摘採、Eyeチェッカーによる検査などの生産管理の徹底、施設の効率的運用による漁業コスト削減の取組のために関係者間での協議や他県への先進地視察を実施している。こうした取組により、浜プラン策定後に20~30%の増産を達成した他、他地区と比べても平均単価の上昇や増産、生産金額の増加が見られた。この結果、浜プラン策定から3年目となる2016年から2019年まで毎年所得向上目標を達成した。浜プランの効果は、若者が働きやすい環境づくりにも繋がり、後継者のいる経営体数が85.7%と高い割合を示している。また、経営体の減少幅で見ても他地区と比べ減少幅が小さくなっており、多方面にわたり効果を発揮したといえる。
浜プランの取組により、共同乾燥加工施設の新設・更新などにより、労働環境の改善から事業規模の拡大、所得の向上、経営体の減少抑制の効果が発現した。また、アサリ採貝業においても2012年~2015年にほぼ漁獲量・生産額がほぼゼロであった状況から、漁場環境の改善や資源回復の取組が行われた結果、近年は稚貝が見られるなど回復の兆しが見られ、2016年からは若干ではあるるが漁獲が再開されている。
ノリの共同乾燥加工事業は合意形成を図ることが難しいことも多い。そのような中、当地区では、漁協と生産者が協力して運営する体制がしっかりと構築されている。
浜プランを土台とした構造改革を着実に進めたことで、漁業所得が目標を上回った。そこには品質向上のた日々話し合いを重ね、生産管理を徹底して行ってきた生産者の努力が大きく寄与している。
同地区の取組は県内のノリ養殖業を牽引するものであり、今後他地区にも波及することが期待される。
「浜の活力再生プラン」(通称「浜プラン」)は、2014年に始まった、水産業の活性化のための改革の取組です。地域によってさまざまに異なる水産業・漁業を振興させることを目指して、それぞれの漁村や地域(=「浜」)の現状に合わせて考えられた取組計画を「浜プラン」と呼びます。
浜プランは、漁業者や市町村を中心に組織された「地域水産業再生委員会」が、課題・計画・目標を見据えて立案します。
その大目標は、「漁業所得の10%アップ」。収入を向上させる取組、コストを削減する取組など、多種多様な具体的なプランが実践されています。
浜ごとに策定される浜プラン。浜の数だけ課題があり、取組が行われています。大きくは以下のような取組が全国の浜で取組まれています。
<収入向上の取組>
高鮮度出荷・加工品開発、直販・輸出など
<コスト削減の取組>
省エネ機器の導入・協業化・船底清掃の取組実施など
浜プランは、「地域活性化のための処方箋」です。
各地域が抱える課題に対し、漁業者と市町村がタッグを組んで自ら考えた解決策を実践することに、浜プランの本質があります。漁業や水産業の改革によって地域全体を元気にすること、「地域創生」に貢献することが、それぞれの浜プランの役割です。
付加価値向上 | 生産・流通 | 外食・観光 | 消費拡大 | 計 | 参考 各地の浜プラン | |
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北海道地区 | 32 | 16 | 7 | 33 | 北海道 | |
東北地区 | 62 | 31 | 3 | 22 | 青森県、岩手県、宮城県、秋田県 山形県、福島県 | |
関東地区 | 70 | 40 | 16 | 13 | 茨城県、千葉県、東京都、神奈川県 | |
北陸地区 | 24 | 12 | 4 | 19 | 新潟県、富山県、石川県、福井県 | |
東海地区 | 23 | 19 | 13 | 14 | 岐阜県、静岡県、愛知県、三重県 | |
近畿地区 | 30 | 11 | 10 | 33 | 滋賀県、京都府、大阪府、兵庫県(日本海側)、 兵庫県(瀬戸内海側)、和歌山県 | |
中国地区 | 32 | 10 | 15 | 44 | 鳥取県、島根県、岡山県、広島県、山口県 | |
四国地区 | 40 | 53 | 5 | 75 | 徳島県、香川県、愛媛県、高知県 | |
九州・沖縄地区 | 73 | 59 | 41 | 67 | 福岡県、佐賀県、長崎県、熊本県、大分県、宮崎県、鹿児島県、沖縄県 | |
計 |