浜プランの取組地区数

5 6 7 地区

大浜漁業協同組合

大浜地区地域水産業再生委員会

作業の分業化と効率化を実行
共同施設の利用を促進し、働き方改革!

漁協と生産者がノリの共同乾燥施設を運営し、海上と陸上の作業を分業化。労働環境の短縮や作業の効率化などにより、生産規模の拡大を実現した。漁業所得の向上に貢献したことが評価され、2020年度浜の活力再生プラン優良事例表彰において漁済連会長賞を受賞した熊本県大浜地区の取組をご紹介!

目次

有明海海苔養殖業発祥の地 大浜

当地区は熊本県北部に位置しており、2019年大河ドラマ「いだてん」で主人公として活躍し、日本人初のオリンピック選手で箱根駅伝の創始者としても知られる「金栗四三(かなくりしそう)」が名誉市民である玉名市にある。古くは菊池川流域で収穫された米の積み出し港として発展し、1901年には「のり養殖の父」として知られる早野義章氏により県の海苔試験場が誘致されるなど、有明海で「初めて」海苔養殖業が開始され、「玉名のり」として東京・大阪などに出荷され注目を集めた。現在でも当地区ではノリ養殖業を基幹漁業とし、その他にアサリ・ハマグリ等の二枚貝採貝業が営まれている。

課題の連鎖を浜プランで

当地区の主力産業であるノリ養殖業は近年、温暖化・赤潮の発生による漁期の短縮、その影響による生産量の減少、そしてその影響による労働の集中が起こり、海上・陸上作業の煩雑化、燃油・資材価格の高騰、さらにこれら補うための事業規模の拡大、その影響による身体的負担の増加、新規就業者の減少など問題拡幅されるような状態であった。
このような中、当地区ではノリ養殖業やアサリ採貝業を中心に所得向上を図るため、ノリの共同乾燥機設備の効率的な運用と共同乾燥の推進、生産管理の徹底によりノリの生産量の増大、アサリの食害生物であるツメタガイの駆除、省エネ機器の導入や省燃油活動などに取り組んだ。

海苔共同乾燥加工事業のスタート

当地区では熊本県では初となる漁協による海苔共同乾燥加工事業が2009年に開始され、6経営体によって利用された。このことは海上作業への専業化および休息の増加に大きく寄与し、増柵・増産、網管理の徹底に繋がりつつ、1日あたりの労働時間が18時間から13時間へ減少した。また、水産業競争力強化緊急事業の有効活用により、システム船を導入し、作業時間の短縮や作業負荷の軽減、摘採能力向上による増柵、早期摘採による病害蔓延の防止に取り組んだ。当地区での2017年のシステム船導入率は、熊本県の有明海地区全体と比べ、約2倍となる90.5%にも上った。その結果、浜プランの策定後、基準年から7%もの増柵を達成した。
その後も既存施設の乾燥機の更新だけでなく、2019年度には海苔共同乾燥加工施設の増設も行い更なる業務の効率化を目指している。

浜プランの成果は多方面へ

当地区では共同施設の整備だけでなく、網管理の徹底や、網洗浄システム船による夜間摘採、Eyeチェッカーによる検査などの生産管理の徹底、施設の効率的運用による漁業コスト削減の取組のために関係者間での協議や他県への先進地視察を実施している。こうした取組により、浜プラン策定後に20~30%の増産を達成した他、他地区と比べても平均単価の上昇や増産、生産金額の増加が見られた。この結果、浜プラン策定から3年目となる2016年から2019年まで毎年所得向上目標を達成した。浜プランの効果は、若者が働きやすい環境づくりにも繋がり、後継者のいる経営体数が85.7%と高い割合を示している。また、経営体の減少幅で見ても他地区と比べ減少幅が小さくなっており、多方面にわたり効果を発揮したといえる。

ノリ養殖業の牽引をこれからも

浜プランの取組により、共同乾燥加工施設の新設・更新などにより、労働環境の改善から事業規模の拡大、所得の向上、経営体の減少抑制の効果が発現した。また、アサリ採貝業においても2012年~2015年にほぼ漁獲量・生産額がほぼゼロであった状況から、漁場環境の改善や資源回復の取組が行われた結果、近年は稚貝が見られるなど回復の兆しが見られ、2016年からは若干ではあるるが漁獲が再開されている。
ノリの共同乾燥加工事業は合意形成を図ることが難しいことも多い。そのような中、当地区では、漁協と生産者が協力して運営する体制がしっかりと構築されている。
浜プランを土台とした構造改革を着実に進めたことで、漁業所得が目標を上回った。そこには品質向上のた日々話し合いを重ね、生産管理を徹底して行ってきた生産者の努力が大きく寄与している。
同地区の取組は県内のノリ養殖業を牽引するものであり、今後他地区にも波及することが期待される。

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