浜プランの取組地区数
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8
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地区
※2024年3月末時点
浜プランの取組地区数
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※2024年3月末時点
〇スケトウダラ高鮮魚出荷の強化
かまぼこやカニカマの原料となる「高級すり身」は、国内では水揚げ
から加工までの鮮度保持が難しく、北米などからの高品質な輸入品に依
存している。スケトウダラの価格は、北米の冷凍すり身市況に大きく影
響を受け魚価の低迷が続いてきたことから、釧路産スケトウダラの高品
質化を図るべく、平成23年から釧路市内の大手加工場が「FA級(原料
冷凍すり身の等級で最上位より2番目の位置付け)すり身製造ライン」
を整備し、高鮮度な冷凍すり身の生産に取り組んでいる。
このような取り組みを推進するため、水揚げ段階での鮮度保持の徹底
に向け、従来のトラックばら積み方式ではなく高鮮度保持を可能とする
FRPタンクを導入し、殺菌海水や必要に応じたシャーベット氷の活用
など、魚体崩れ防止や衛生管理に配慮した保管方式に見直すことで、釧
路産ブランドとして単価向上につながっており、今後も5%の向上に向
け取組を継続する。
さらに、全ての魚種を対象に既に6隻に装備されている海水電解殺菌
装置を、装備未了の所属船においても順次装備を進め、船体、漁網、魚
箱、タンク等を清浄海水による洗浄など衛生管理の向上を図ることで、
漁獲物の鮮度品質の向上を図るとともに、漁獲後の酸化を防ぎ長期保存
が可能となるシャーベット状の海水氷(シルク氷)を用いた最新の保冷
技術を活用することで鮮度保持対策を実施する。
○輸出の推進
平成11年以降、国内で初めて、統一規格を定めた生鮮魚発泡詰めに
より韓国向け輸出に取り組んできた結果、韓国内で「釧路沖底産スケト
ウダラ」としての評価が年々高まり、平成22年には漁獲数量の7%、
漁獲金額の24%を占める漁業経営の重要な収入源となっていたが、平
成23年3月東日本大震災の影響により翌年以降出荷できずにいた。し
かし、韓国内の水産物輸入規制の状況を勘案しつつ『釧路沖底産スケト
ウダラ生鮮魚発泡』の出荷を再開し、震災以前の水準まで出荷できるよ
うに取り組む。
また、漁業者と漁協は、JETROの協力のもと、タイ、マレーシア
などを対象とした海外市場調査に参加、現地バイヤー及び日本食レスト
ランオーナーとの懇談、水産食品輸出商談会に参加するなど、近年、経
済成長が著しい中国や東南アジアを対象に輸出増大を進めている。今後
も輸出拡大に向け取組を実施していく。
○未利用資源の活用
漁業者と漁協、ミツウロコ食品(株)では、アブラガレイ・ハモ・ゲ
ンゲなどの低・未利用資源の有効活用を図るため、釧路市水産加工振興
センターと協力し、新たな加工品の開発に取り組んでおり、今後も製品
開発や販売に向け取組を行う。
○6次産業化の推進
水揚げの主体となるスケトウダラは、「かまぼこ」や「たらこ」などの
加工用に大半が利用され、生鮮食用にはあまり利用されていない状況に
ある。このため、釧路市と連携し、釧路港の水産センター内食堂など飲
食店の協力により、釧路港で水揚の多いスケトウダラを使用した料理を
利用者に提供するほか、「ohさかなまつり」や「物産まつり」などの各種
催事への参加や都市部での販売促進を行うほか、惣菜魚やスケトウダラ
の試食・調理方法をPRし、スケトウダラ、タラなど地域資源を有効活
用した消費拡大に取り組む。
平成28年度に整備した漁協加工場に「魚のさばき方や食べ方を教え
る調理施設」を常設し、「加工品づくり体験」や「釧路の漁業や釧路港の
歴史を学ぶ水産学習」を通じ、広く市民に、新鮮で美味しい釧路産の魚
に興味や関心を持ってもらうよう食育や地産地消の取組みを広げる。
さらに、釧路市、商工会議所、観光関係団体で構成する「釧路市地域
雇用創造協議会」が進める、地域資源を活用した商品開発事業に参画し
、スケトウダラ専用のフィレマシンなど加工機械の導入を行い、新たな
加工品の開発を進めている。いくつかの試作品ができたことから、今後
は、試作した加工品の試験販売や市内ホテルへ等への売り込みに取り組
んでおり、消費者のニーズに応じた加工品の供給に取組んで行く。また
、これら加工品をはじめとする釧路産の水産物を販売する直売店の整備
やこれを活用した販売促進事業を展開し、魚を獲るだけの漁業から加工
・販売も一貫して取組むことで消費拡大や付加価値の向上を図る。
将来構想として平成22年に釧路市が策定した「釧路港漁港区(副港)
の将来ビジョン」では、漁業の生産活動が観光資源として注目されてお
り、魚の陸揚げや競りの見学などによる「水産観光」という新分野にも
参画を目指し、構想実現に向けて釧路市と連携し、地域全体の活性化に
貢献していく。
○衛生管理向上による付加価値向上
市場の老朽化により衛生管理や高鮮度流通機能が著しく低下している
ため、北海道産地市場衛生管理ガイドラインに基づき、衛生管理、作業
効率、鮮度保持に適した構造で、高度衛生管理型に対応した市場施設を
整備し、漁獲物の付加価値向上を進める。
JF・団体名 | 釧路機船漁業協同組合 |
住所 | 〒085-0845 北海道釧路市港町1-18 |
電話番号 | 0154-43-3411 |
「浜の活力再生プラン」(通称「浜プラン」)は、2014年に始まった、水産業の活性化のための改革の取組です。地域によってさまざまに異なる水産業・漁業を振興させることを目指して、それぞれの漁村や地域(=「浜」)の現状に合わせて考えられた取組計画を「浜プラン」と呼びます。
浜プランは、漁業者や市町村を中心に組織された「地域水産業再生委員会」が、課題・計画・目標を見据えて立案します。
その大目標は、「漁業所得の10%アップ」。収入を向上させる取組、コストを削減する取組など、多種多様な具体的なプランが実践されています。
浜ごとに策定される浜プラン。浜の数だけ課題があり、取組が行われています。大きくは以下のような取組が全国の浜で取組まれています。
<収入向上の取組>
高鮮度出荷・加工品開発、直販・輸出など
<コスト削減の取組>
省エネ機器の導入・協業化・船底清掃の取組実施など
浜プランは、「地域活性化のための処方箋」です。
各地域が抱える課題に対し、漁業者と市町村がタッグを組んで自ら考えた解決策を実践することに、浜プランの本質があります。漁業や水産業の改革によって地域全体を元気にすること、「地域創生」に貢献することが、それぞれの浜プランの役割です。
付加価値向上 | 生産・流通 | 外食・観光 | 消費拡大 | 計 | 参考 各地の浜プラン | |
---|---|---|---|---|---|---|
北海道地区 | 32 | 16 | 7 | 33 | 北海道 | |
東北地区 | 62 | 31 | 3 | 22 | 青森県、岩手県、宮城県、秋田県 山形県、福島県 | |
関東地区 | 70 | 40 | 16 | 13 | 茨城県、千葉県、東京都、神奈川県 | |
北陸地区 | 24 | 12 | 4 | 19 | 新潟県、富山県、石川県、福井県 | |
東海地区 | 23 | 19 | 13 | 14 | 岐阜県、静岡県、愛知県、三重県 | |
近畿地区 | 30 | 11 | 10 | 33 | 滋賀県、京都府、大阪府、兵庫県(日本海側)、 兵庫県(瀬戸内海側)、和歌山県 | |
中国地区 | 32 | 10 | 15 | 44 | 鳥取県、島根県、岡山県、広島県、山口県 | |
四国地区 | 40 | 53 | 5 | 75 | 徳島県、香川県、愛媛県、高知県 | |
九州・沖縄地区 | 73 | 59 | 41 | 67 | 福岡県、佐賀県、長崎県、熊本県、大分県、宮崎県、鹿児島県、沖縄県 | |
計 |