浜プランの取組地区数※2024年3月末時点
5 8 8 地区 ※2024年3月末時点
☞以下の取組みにより、基準年対比漁業所得を 1.5%向上させる
庄内浜産水産物については従来当該地方で消費されるほかは、そのほとんどが石川県や新潟県等の県外に流出し、本県の人口 113 万人のうち 75%を占める県庁所在地がある山形市ほか本県内陸部への水産物は、流通面から太平洋からの流入が主流となっており、身近に消費地がありながら地元水産物が流通しないといった問題を抱えていた。このため、漁協や全てのいか釣り漁業者は、以下の取り組みを通じて、地元水産物の本県内陸部への流通を積極的に推進・拡大し、他県への流通促進に加えて水産物取扱業者や消費者から評価を受けることと流通コストを抑えることで魚価の向上を図る。
①全漁業者は、これまで船上での箱詰めにおいて、集魚灯に集まる蛾の混入などが問題となっていたことから、漁獲後の低温管理を徹底するべく適切な施氷の実施とあわせてすみやかな発砲スチロールへの積み込み作業を行い蛾の混入抑制に努める。なお、迅速な発砲スチロールへの積み込み作業は、スルメイカを氷から溶けた真水に触れず、かつ、氷焼けを防いだ状態で低温管理を行えば魚体の白化を抑制し、魚価の向上にもつながることが期待されることから、漁協は、白化を防ぐ対策とあわせて迅速な船上作業を行うための講習会を全漁業者を対象として実施することで、漁獲物の品質向上に取り組んでいく。(品質向上)
さらに、消費地飲食店等において、これまでの鮮魚から「活魚」へのニーズが高まっていることから、小型いか釣り漁業者は船内に活魚用魚倉の設置を、また漁協は漁港での活魚蓄養水槽の導入について、その後の最適な出荷方法や販路開拓・拡大の可能性とあわせて検討を行う。(品質向上・ブランド化)
②漁協は、いか釣りで漁獲されるスルメイカについて、加工品製造を推進するべく、漁業者グループによる加工技術の指導普及に努めるとともに、水産加工場の冷凍冷蔵施設や真空包装装置等(『うめぇいかの煮つけ』パック詰め商品などの新商品の開発を行う上で必要な装置)について施設整備を検討する。また、漁協は販売推進に取り組むべく、漁協ホームページを刷新し、インターネット販売による販売推進を検討する。(消費拡大・付加価値向上)
③漁業者は、船上で生スルメイカの神経〆を行う為の方法や販売方法・流通について、検討を行う。
④漁協は、スルメイカが依然として県内内陸地方での認知が低いことから、試食会等を通じて内陸地方への積極的な販売活動を行うほか、小型いか釣りにおいては、5月~8月限定の「旬」をメディア向けのプレスリリースや山形県漁協ホームページにおける、ニュースリリースを活用し、消費者等に広く周知することやレシピの充実を図ること等を通じて消費者への理解に努める。なお、これらの取組を計画的に進めるべく、以下の活動を含めて、販売戦略を定め、販売促進に努める。
・漁協と県・沿岸市町は、山形市を中心とした内陸部の消費地における「庄内浜の魚応援店」の募集と、漁業者と応援店との意見交換会等を通じて消費者ニーズに基づく地元水産物の取扱推進に努める。
・漁協は「産直カー(冷蔵ケースを備えた 2t型移動販売車)」を有効活用し、県内陸部への輸送と「応援店」や消費者への水産物の提供と情報発信に努める。(流通改善・消費拡大)
・いか釣り漁業者で構成する山形県中型漁業振興会は、地元開催する「いか釣り出港式」のほか、県・市町と連携をとり東京・大阪などでのデパート物産展にも積極的に参加し、スルメイカ加工商品の普及推進を行い、都市部と漁村との交流、漁村コミュニティーの活性化に努める。(消費拡大)
・漁協と県・沿岸市町は学校給食や老人介護施設等の給食サービス機関での庄内浜産水産物の加工技術の開発を含めた利用促進を図る。(消費拡大)
・漁協と行政によるお魚料理教室の開催などにより、若年層を中心とした魚食普及・食育推進の取組を推進する。(魚食普及)
・漁協女性部や庄内浜文化伝道師は、地魚料理教室を開催することで地元水産物の消費拡大に努める。(消費拡大)
「浜の活力再生プラン」(通称「浜プラン」)は、2014年に始まった、水産業の活性化のための改革の取組です。地域によってさまざまに異なる水産業・漁業を振興させることを目指して、それぞれの漁村や地域(=「浜」)の現状に合わせて考えられた取組計画を「浜プラン」と呼びます。
浜プランは、漁業者や市町村を中心に組織された「地域水産業再生委員会」が、課題・計画・目標を見据えて立案します。
その大目標は、「漁業所得の10%アップ」。収入を向上させる取組、コストを削減する取組など、多種多様な具体的なプランが実践されています。
浜ごとに策定される浜プラン。浜の数だけ課題があり、取組が行われています。大きくは以下のような取組が全国の浜で取組まれています。
<収入向上の取組>
高鮮度出荷・加工品開発、直販・輸出など
<コスト削減の取組>
省エネ機器の導入・協業化・船底清掃の取組実施など
浜プランは、「地域活性化のための処方箋」です。
各地域が抱える課題に対し、漁業者と市町村がタッグを組んで自ら考えた解決策を実践することに、浜プランの本質があります。漁業や水産業の改革によって地域全体を元気にすること、「地域創生」に貢献することが、それぞれの浜プランの役割です。
付加価値向上 | 生産・流通 | 外食・観光 | 消費拡大 | 計 | 参考 各地の浜プラン | |
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北海道地区 | 32 | 16 | 7 | 33 | 北海道 | |
東北地区 | 62 | 31 | 3 | 22 | 青森県、岩手県、宮城県、秋田県 山形県、福島県 | |
関東地区 | 70 | 40 | 16 | 13 | 茨城県、千葉県、東京都、神奈川県 | |
北陸地区 | 24 | 12 | 4 | 19 | 新潟県、富山県、石川県、福井県 | |
東海地区 | 23 | 19 | 13 | 14 | 岐阜県、静岡県、愛知県、三重県 | |
近畿地区 | 30 | 11 | 10 | 33 | 滋賀県、京都府、大阪府、兵庫県(日本海側)、 兵庫県(瀬戸内海側)、和歌山県 | |
中国地区 | 32 | 10 | 15 | 44 | 鳥取県、島根県、岡山県、広島県、山口県 | |
四国地区 | 40 | 53 | 5 | 75 | 徳島県、香川県、愛媛県、高知県 | |
九州・沖縄地区 | 73 | 59 | 41 | 67 | 福岡県、佐賀県、長崎県、熊本県、大分県、宮崎県、鹿児島県、沖縄県 | |
計 |