浜プランの取組地区数
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地区
※2023年3月末時点
浜プランの取組地区数
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※2023年3月末時点
庄内浜産水産物は、約 40%が当該地方で消費されるほかは、約 50%が新潟県や首都圏等の県外に流出し、県庁所在地がある山形市ほか本県内陸部への水産物の流通は10%程度にとどまっている。これまで太平洋側の水産物が一般的であった本県内陸部の水産物取扱業者や消費者に対し、庄内浜産水産物の認知を広げるための取組みや流通を積極的に推進・拡大する。
さらに、首都圏等で高値での取引が期待できる「庄内おばこサワラ」や活魚で出荷している「天然とらふぐ」などの流通を促進することで魚価の向上を図る。
(1)品質向上① 海水殺菌装置・冷却装置の有効利用と船上活〆・神経〆による鮮度保持はえ縄漁業者や一本釣り漁業者は、漁獲物の付加価値向上を図るため、水揚げ後出荷までの低温管理を徹底するべく漁船に冷却海水タンクや海水殺菌装置を装備し、衛生管理・鮮度保持に努めるとともに、漁獲物の一部は船上にて活〆(ヒラメ・ワラサ等)・神経抜き(サワラ・マダイ等)処理を行うことで品質の向上を図り、仲買人や料理人の評価高を高めることで、魚価の向上を図る。
② 鮮度保持技術の習得・普及漁協とはえ縄漁業者は、これまでの「庄内おばこサワラ」のブランド化の取組みにより増大した料理店等の需要に応え、ブランドを維持していくため、それに必要な活締め、神経締め等優れた技術を習得し、さらに漁業者の意識向上を図るための鮮度保持取扱講習会・研修会を開催する。
(2)ブランド化① マダイのブランド化マダイのブランド化についての検討を行う。庄内浜では他の魚種に較べ比較的多く獲れ、年ごとの漁獲量変動も少ないマダイは、これまでの取組みが魚価に反映されてこなかった。このため、関係者が連携し、活け越しと活締め等の技術を併用する取り組みを進めており、ブランド化を図る。
② イワガキのブランド化イワガキのブランド化について、ブランドガキの出荷時期・規格等を検討する。
(3)活魚出荷漁協は、消費地飲食店等において「活魚」へのニーズが高まっていることから、施設の役割を再整理し、畜養・活魚出荷機能に特化した荷捌き所・支所の設置を進めるとともに、蓄養・活魚水槽の整備を検討する。老朽化し現在の出荷体制に適合していない豊浦支所荷捌き所については、活魚出荷に対応可能な施設整備を計画する。
はえ縄漁業者はタイやヒラメ、その他ではキジハタ、ソイについて、活魚出荷に取り組むこととし、漁協はその販路開拓・拡大に努める。また、既に活魚出荷が実施されているトラフグにおいても発赤・すれ・防止などの品質安定対策を行う。
(4)資源増大・漁場管理① 種苗放流・資源管理型漁業の推進漁協と県・沿岸市町は、豊かな海づくりのため、アワビ・ヒラメ・トラフグなどの魚種を対象に、種苗放流を継続し、資源の増大を図る。水産振興協会は生産不調を防ぎつつ健苗性の高い種苗を生産する。なお、県はその指導・助言、老朽化した施設の補修等を行う。生息環境調査を行い、保護育成礁等の整備を行うとともに、一本釣り漁業者と刺し網漁業者は放流活動の積極的な推進を図る。また、延縄・小型定置漁業者はトラフグ等の重要種における資源管理に力を入れ、小型魚の漁獲を避ける努力をする。
② 藻場等の漁場保全採貝藻漁業者は、イワガキ資源の回復を図る為、効率的な岩盤清掃の方法や時期等について検討の上、実施するとともに、密漁監視を強化する。また、行政と連携し、各地先に新たなイワガキ増殖礁の設置を計画する。さらに、アワビ漁場機能、藻場環境の保全のため、県・加茂水産高校と連携して母藻の設置や海藻の食害生物の駆除などの活動を行う。
③ サケ資源の増大小型定置網漁業者は、さけの増産を図るため、さけ放流稚魚の一部について、生残率や回帰率の向上が図られるよう、種苗を海中飼育後に放流する取組を行う。また、内水面漁協・さけ生産組合等は、市場評価の高い銀毛サケを増やすため、最上川上流部での移植放流事業の取組みを進める。
④ 種苗生産施設の整備県は、地震により被害を受けた県栽培漁業センターの補修工事を行い、安定した種苗生産を行うことで、漁獲量の安定を図る。
(5)加工の促進漁協は、定置網で漁獲される未利用魚・低価格魚(サバ子やアジ子、ソーダガツオ等)について加工品製造を推進するべく、小型定置網漁業者のグループに対して加工技術の指導、普及に努めるとともに、老朽化している水産加工場の施設整備を検討する。
漁協と県・沿岸市町は、需要に応じた新たな加工品の開発を進めることで、学校給食や老人介護施設等の給食サービス機関での利用促進を図る。
(6)畜養による安定出荷全漁業者は、活魚出荷への取り組みとは別に、蓄養水槽の導入により荒天の影響を受けない計画的・安定的な出荷を実現するとともに、安定出荷による量販店からの信頼確保に取り組む。取組はアワビ・マダイ・ヒラメ等活魚出荷の知見が多い魚種から実施し、拡大を図る。
(7)消費拡大・販路拡大① 庄内産水産物の認知度向上漁協と行政は、料理店等との連携によるキャンペーンを実施することで、「旬」を消費者等に広く周知するとともに、料理人等による料理方法を紹介するなどレシピの充実を図ること等を通じて消費者の理解増進に努める。
② 内陸部への流通拡大漁協と県・沿岸市町は、山形市を中心とした内陸部の消費地における「庄内浜の魚応援店」の募集と、漁業者と応援店との意見交換等を通じて消費者ニーズに基づく地元水産物の取扱推進に努める。
③ 「庄内海丸」を通じた情報発信漁協は直営店「庄内海丸」を有効活用し、対面販売により庄内浜産水産物の提供と情報発信に努める。また、「庄内海丸」に輸送する車両で「応援店」からの注文品を一緒に運ぶことで、応援店に利便を図ることを積極的に PR し、認知度を高める県内陸部への輸送と「応援店」や消費者への水産物の提供と情報発信に努める。
④ 漁業者による地魚消費拡大に向けた各種イベントの開催と漁村コミュニティーの活性化はえ縄、小型定置網、刺し網、一本釣り、採介藻漁業者で構成する沿岸漁業者協議会は、地元開催する「鼠ヶ関大漁旗フェスティバル」、「由良港大漁まつり」や「農林水産まつり」のほか、県・沿岸市町と連携をとり東京・大阪などでのデパート物産展にも積極的に参加し、都市部と漁村との交流、漁村コミュニティーの活性化に努める。
⑤ 魚食普及・食育漁協と行政は、庄内浜文化伝道師と連携し、保育園児から社会人まで年齢層に応じた「お魚教室」を開催し、若年層の魚食普及の推進と地元水産物の消費拡大に努める。
JF・団体名 | 山形県漁業協同組合(はえ縄) |
住所 | 〒998-0036 山形県酒田市船場町2-2-1 |
電話番号 | 0234-24-5611 |
「浜の活力再生プラン」(通称「浜プラン」)は、2014年に始まった、水産業の活性化のための改革の取組です。地域によってさまざまに異なる水産業・漁業を振興させることを目指して、それぞれの漁村や地域(=「浜」)の現状に合わせて考えられた取組計画を「浜プラン」と呼びます。
浜プランは、漁業者や市町村を中心に組織された「地域水産業再生委員会」が、課題・計画・目標を見据えて立案します。
その大目標は、「漁業所得の10%アップ」。収入を向上させる取組、コストを削減する取組など、多種多様な具体的なプランが実践されており、2017年8月現在、北海道から沖縄まで、全国で640を超える浜プランが策定されています。
浜ごとに策定される浜プラン。浜の数だけ課題があり、取組が行われています。大きくは以下のような取組が全国の浜で取組まれています。
<収入向上の取組>
高鮮度出荷・加工品開発、直販・輸出など
<コスト削減の取組>
省エネ機器の導入・協業化・船底清掃の取組実施など
浜プランは、「地域活性化のための処方箋」です。
各地域が抱える課題に対し、漁業者と市町村がタッグを組んで自ら考えた解決策を実践することに、浜プランの本質があります。漁業や水産業の改革によって地域全体を元気にすること、「地域創生」に貢献することが、それぞれの浜プランの役割です。
付加価値向上 | 生産・流通 | 外食・観光 | 消費拡大 | 計 | 参考 各地の浜プラン | |
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北海道地区 | 32 | 16 | 7 | 33 | 北海道 | |
東北地区 | 62 | 31 | 3 | 22 | 青森県、岩手県、宮城県、秋田県 山形県、福島県 | |
関東地区 | 70 | 40 | 16 | 13 | 茨城県、千葉県、東京都、神奈川県 | |
北陸地区 | 24 | 12 | 4 | 19 | 新潟県、富山県、石川県、福井県 | |
東海地区 | 23 | 19 | 13 | 14 | 岐阜県、静岡県、愛知県、三重県 | |
近畿地区 | 30 | 11 | 10 | 33 | 滋賀県、京都府、大阪府、兵庫県(日本海側)、 兵庫県(瀬戸内海側)、和歌山県 | |
中国地区 | 32 | 10 | 15 | 44 | 鳥取県、島根県、岡山県、広島県、山口県 | |
四国地区 | 40 | 53 | 5 | 75 | 徳島県、香川県、愛媛県、高知県 | |
九州・沖縄地区 | 73 | 59 | 41 | 67 | 福岡県、佐賀県、長崎県、熊本県、大分県、宮崎県、鹿児島県、沖縄県 | |
計 |