浜プランの取組地区数※2024年3月末時点
5 8 8 地区 ※2024年3月末時点
1 ノリ・ワカメの品質向上
・藻類養殖業者は、漁業者の減少により漁場の利用が従来より柔軟に対応できる状
況であるため、養殖ノリ・ワカメへの栄養塩の巡りが良好になるよう、空いた漁場
を活用し養殖枠の間隔を広げて色落ち被害を抑制し、品質の維持向上に努める。
2 魚価の向上
・小型底びき網漁業者は、1 回あたりの曳網時間をこれまでの約 40 分から 10 分短
縮し、マダイ、タコ類、カレイ類、ハモ等の漁獲物が網ズレなどにより低下する活
力をより高い状態で保持し、単価の高い活魚として販売することに努める。(この取
り組みにより 1 回当たりの曳網時間は短縮されるものの、1 日の操業時間に対する
曳網回数は増えることから漁獲量の大幅な増減は発生しない。)
特に高級魚であるマダイについて、漁業者は、「1 枚の鱗もはがさない」をテーマ
に水揚げ時には 1 匹ずつ手作業で取り扱い、荷さばき所の水槽に活かしたまま移す。
同じく高級魚のハモについても、水揚げ時には数匹ずつ籠にいれ、水槽に活かした
まま移す。
この取組により、漁協は、丁寧に取り扱ったタイ・ハモを「浅野のタイ・ハモ」
と銘打って認知度を広めるとともに流通量(出荷量)の増大を図るため、これまで 3
段階程度の大まかなサイズ選別と入札時に魚体確認を行なわない「大札」で入札し
ていたマダイ・ハモについて、市場価格が特に高く取引される 1~2 ㎏サイズの品質
の良いマダイ、同じく 0.6~1 ㎏サイズの品質の良いハモに特化して、従来の「大札」
とは別に優先して選別する。また、入札方法も仲買業者が漁獲物を確認する「見買
い」に変更して販売を行なうことで、品質の良い漁獲物を要求する大都市圏の高級
魚取扱店舗への流通量を増大させることによって魚価の向上を図ることを検討す
る。
底びき網漁業者は、当地区で最も漁獲量の多いタコについて、1 日で大量に獲れる
時には、入札までに船内の魚槽で活力が低下したり斃死することがあるため、操業
中に一旦帰港し岸壁等の活け網にて保管することで斃死や活力低下を防止させ、活
魚出荷量を増大させる。
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また、漁協は、タコの大量漁獲により単価の下落が著しい場合は、値崩れを防止
するため、漁獲量制限等 1 人当たりの出荷量調整を行なうことを関係漁業者と検討
する。
また、底びき網や刺網等で漁獲されるタコ類、マダイ、カレイ類、スズキ、イカ
類をはじめとした全魚種について、漁業者は、漁船上での規格外の傷物や活力の低
下したものなど品質の悪い魚の目視選別を徹底したうえで共販市場にかけ、市場作
業の効率化 (選別等荷さばき作業時間の短縮) により、漁獲物の活力維持や鮮度低
下を抑えた出荷を漁協と協力して進める。
3 漁場環境の保全と資源量の増大
・漁業者全員が参加し、海底耕耘の作業を行うことにより、栄養塩低下の対策とし
て漁場環境の保全にかかる活動を推進する。また、全漁業者は、ヒラメやオニオコ
ゼ、マコガレイ、クルマエビ、ガザミの種苗放流等の栽培漁業や資源管理等の取り
組みに参加し、資源の増大を図る。
「浜の活力再生プラン」(通称「浜プラン」)は、2014年に始まった、水産業の活性化のための改革の取組です。地域によってさまざまに異なる水産業・漁業を振興させることを目指して、それぞれの漁村や地域(=「浜」)の現状に合わせて考えられた取組計画を「浜プラン」と呼びます。
浜プランは、漁業者や市町村を中心に組織された「地域水産業再生委員会」が、課題・計画・目標を見据えて立案します。
その大目標は、「漁業所得の10%アップ」。収入を向上させる取組、コストを削減する取組など、多種多様な具体的なプランが実践されています。
浜ごとに策定される浜プラン。浜の数だけ課題があり、取組が行われています。大きくは以下のような取組が全国の浜で取組まれています。
<収入向上の取組>
高鮮度出荷・加工品開発、直販・輸出など
<コスト削減の取組>
省エネ機器の導入・協業化・船底清掃の取組実施など
浜プランは、「地域活性化のための処方箋」です。
各地域が抱える課題に対し、漁業者と市町村がタッグを組んで自ら考えた解決策を実践することに、浜プランの本質があります。漁業や水産業の改革によって地域全体を元気にすること、「地域創生」に貢献することが、それぞれの浜プランの役割です。
付加価値向上 | 生産・流通 | 外食・観光 | 消費拡大 | 計 | 参考 各地の浜プラン | |
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北海道地区 | 32 | 16 | 7 | 33 | 北海道 | |
東北地区 | 62 | 31 | 3 | 22 | 青森県、岩手県、宮城県、秋田県 山形県、福島県 | |
関東地区 | 70 | 40 | 16 | 13 | 茨城県、千葉県、東京都、神奈川県 | |
北陸地区 | 24 | 12 | 4 | 19 | 新潟県、富山県、石川県、福井県 | |
東海地区 | 23 | 19 | 13 | 14 | 岐阜県、静岡県、愛知県、三重県 | |
近畿地区 | 30 | 11 | 10 | 33 | 滋賀県、京都府、大阪府、兵庫県(日本海側)、 兵庫県(瀬戸内海側)、和歌山県 | |
中国地区 | 32 | 10 | 15 | 44 | 鳥取県、島根県、岡山県、広島県、山口県 | |
四国地区 | 40 | 53 | 5 | 75 | 徳島県、香川県、愛媛県、高知県 | |
九州・沖縄地区 | 73 | 59 | 41 | 67 | 福岡県、佐賀県、長崎県、熊本県、大分県、宮崎県、鹿児島県、沖縄県 | |
計 |