浜プランの取組地区数※2024年3月末時点
5 8 8 地区 ※2024年3月末時点
●漁獲物の品質向上
①船びき網漁業 16 名は、鮮度が落ちやすいイカナゴ、シラスについて、1操業当た
りの曳網時間を 10 分程度短縮し、1操業での漁獲量を調整して漁獲物の冷却効率
を向上させること、陸揚にかかる帰港までの時間を短縮することで鮮度向上に努
める。
②刺網漁業 8 名は、漁場での漁具の設置時間を2時間短縮することで網に掛かって
から水揚げする時間を短縮し、漁獲物の鮮度向上に努めるとともに、漁獲物を網
から外す際には、メバルやカサゴなどの魚類では、網外し器具の使用と直接魚体
に手が触れて魚が傷まないよう手袋の着用を徹底し、イセエビは足折れによる魚
価低下をまねかないよう、網外し器具の使用と絡んだ網の切断を併用してこれま
で以上に丁寧に扱う。
③延縄漁業 9 名は、漁獲されたトラフグやハモを漁船の生簀に収容する際には、酸
素ボンベからのエアレーションにより適度な酸素供給と氷を入れて水温を下げる
水温調整を行い、活力を保持した状態で水揚げし、一匹でも多く高値で取引され
る活魚で出荷できるよう努める。
④一本釣漁業 43 名は、漁獲したサワラを、エラ締め血抜きで死後硬直を遅らせ鮮度
保持に努める。また、この処理を行ったサワラ、タチウオなどの鮮魚を、保冷能
力の高い保冷箱の導入と水氷の併用により船上でのさらなる鮮度保持の向上に取
り組む。
⑤ワカメ養殖業 7 名は、栄養塩不足による色落ちを低減させるため養殖漁場へ施肥
(硫安の入った袋を養殖場に吊して海中への窒素添加を促す)を行なうことによ
り品質の維持向上に努める。
⑥魚類養殖業 21 名は、養殖トラフグ等への寄生虫の付着を減らし成長を促すため、
海底改良剤(クリアウォーター、カルサンマリン)を養殖漁場に散布するなど養殖魚
の品質向上に努める。
●資源の増大
漁業者、漁協、地元行政機関が協力し、投石による藻場の造成、アオリイカ産
卵床設置、タコ産卵用蛸壺設置、マダイ、ヒラメ、マコガレイ、オニオコゼ、カ
サゴの中間育成等の栽培漁業やクロアワビ、サザエ、アカウニ等の有用種の放流
を実施し、休漁日の拡大やバックフィッシュ等資源管理の取り組みに参加し、資
源の増大を図る。
●地元消費の拡大
漁協は、全漁業者と協力し、以下の取組を行い、島内観光客や地元住民等の購
入機会を増やすとともに、魚食普及により地元での消費拡大を図る。
1 農畜水産物直売所「美菜恋来屋」の活用
漁協は、全漁業者と協力し、農畜水産物直売所「美菜恋来屋」を活用し、サ
ワラやタチウオ、アジ等地元水産物を販売し消費拡大を図る。
②「水産物祭」によるPR
福良地区は、鳴門海峡の渦潮観光船発着地となっており、島外からの観光客
も多く来訪、宿泊することから、地元の仲買人、加工業者、商店街、料理店、
民宿等とも連携し、福良地区特産の養殖トラフグ(淡路島3年とらふぐ、11 月
開催)をはじめ、マダイ(鳴門鯛、桜鯛、3 月開催)、ハモ(べっぴん鱧、5 月
開催)、マダコ(6 月開催)、シラス干し(ちりめん、10 月開催)、そして新たに
サクラマスの養殖に取り組み(サクラマス、2 月開催)、新名物化を目指し、「水
産物祭」での直売を通じたPR活動を実施する。
③朝市等の定期的な開催
漁協は、観光協会と協力し、毎月1回朝市を開催し、准組合員となっている
水産物加工業者が製造するシラス干しや煮干し、塩蔵ワカメ等を地元消費者や
観光客へ販売することにより消費拡大を図る。また、漁業者自らもタチウオや
マイワシ等漁獲物を販売する。
④学校給食への提供、料理教室の開催
養殖漁業者は、地元小学校の給食に地元特産の「淡路島3年とらふぐ」を提
供するとともに、養殖漁業をはじめとした当地区の漁業について講義を行なう
ことで地元の漁業や魚への親しみを醸成する。
また、漁協女性部は、地元小学校でタチウオやシラス干し、ノリ、ワカメ等
を食材とした料理教室の開催により魚食普及を進める。
●漁協販売機能の強化
漁協は、漁業者、既存仲買業者と協力し、長時間にわたって行なわれている入
札時間の短縮と漁業種類ごとの入札時間帯の集約などにより、共販運営の効率化
を図り、仲買人の新規参入も含め、産地市場の価格形成力を向上させ、魚価を向
上させることの検討を開始する。
●新規漁業就業者の確保・育成
漁協は、漁業者と協力し、意欲ある若者が漁業に新規参入し、継続して漁業に
携わるための環境を整えるとともに、漁業の高付加価値化を担う人材を確保・育
成し、地域漁業の再生を図る。
「浜の活力再生プラン」(通称「浜プラン」)は、2014年に始まった、水産業の活性化のための改革の取組です。地域によってさまざまに異なる水産業・漁業を振興させることを目指して、それぞれの漁村や地域(=「浜」)の現状に合わせて考えられた取組計画を「浜プラン」と呼びます。
浜プランは、漁業者や市町村を中心に組織された「地域水産業再生委員会」が、課題・計画・目標を見据えて立案します。
その大目標は、「漁業所得の10%アップ」。収入を向上させる取組、コストを削減する取組など、多種多様な具体的なプランが実践されています。
浜ごとに策定される浜プラン。浜の数だけ課題があり、取組が行われています。大きくは以下のような取組が全国の浜で取組まれています。
<収入向上の取組>
高鮮度出荷・加工品開発、直販・輸出など
<コスト削減の取組>
省エネ機器の導入・協業化・船底清掃の取組実施など
浜プランは、「地域活性化のための処方箋」です。
各地域が抱える課題に対し、漁業者と市町村がタッグを組んで自ら考えた解決策を実践することに、浜プランの本質があります。漁業や水産業の改革によって地域全体を元気にすること、「地域創生」に貢献することが、それぞれの浜プランの役割です。
付加価値向上 | 生産・流通 | 外食・観光 | 消費拡大 | 計 | 参考 各地の浜プラン | |
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北海道地区 | 32 | 16 | 7 | 33 | 北海道 | |
東北地区 | 62 | 31 | 3 | 22 | 青森県、岩手県、宮城県、秋田県 山形県、福島県 | |
関東地区 | 70 | 40 | 16 | 13 | 茨城県、千葉県、東京都、神奈川県 | |
北陸地区 | 24 | 12 | 4 | 19 | 新潟県、富山県、石川県、福井県 | |
東海地区 | 23 | 19 | 13 | 14 | 岐阜県、静岡県、愛知県、三重県 | |
近畿地区 | 30 | 11 | 10 | 33 | 滋賀県、京都府、大阪府、兵庫県(日本海側)、 兵庫県(瀬戸内海側)、和歌山県 | |
中国地区 | 32 | 10 | 15 | 44 | 鳥取県、島根県、岡山県、広島県、山口県 | |
四国地区 | 40 | 53 | 5 | 75 | 徳島県、香川県、愛媛県、高知県 | |
九州・沖縄地区 | 73 | 59 | 41 | 67 | 福岡県、佐賀県、長崎県、熊本県、大分県、宮崎県、鹿児島県、沖縄県 | |
計 |