浜プランの取組地区数

5 6 7 地区

愛媛県漁業協同組合 弓削支所・魚島支所・岩城生名支所

上島地区地域水産業再生委員会

~加工品開発や企業連携で販路拡大へ~

愛媛県 上島地区地域水産業再生委員会のチャレンジ精神溢れる取組

瀬戸内海に浮かぶ上島町。自然豊かな島で人口減少や少子高齢化、離島という立地など様々な課題を抱えながら漁業振興に取り組んだ。今回紹介するのは全漁連会長賞を受賞した弓削、魚島、岩城生名の3つの地区が所在する上島地区地域水産業再生委員会の取組だ。

目次

島々が集まったひとつの町 上島

人口6,300人ほどの大小25個の離島の集合体、上島町。有人島が7島、無人島が18島、瀬戸内海に浮かんでいる。有人島は4島を3橋で結ぶ「ゆめしま海道」と、一日で延べ150便行き交う船でめぐることが出来る。温暖な気候に恵まれ、農業では柑橘類が特産品である。また、島々を望む圧巻の眺望を目当てに来る観光客も多い。豊かな自然の中でエコツーリズムやサイクリング、キャンプなど海や山のアクティビティも盛んだ。

人口132人!魚島の販路拡大の大きな改革

魚島(うおしま)は上島の中でも人口132人ほどの小さい島で、自然豊かでヒラメの一種であるデベラ漁が有名だ。港に広がるデベラ干しの風景は冬の風物詩となっている。また、タコ壺漁も盛んで、春と秋には港にたくさんのタコ壺が並ぶ、島ならではの風景が観られる。しかし、漁業以外の産業がほとんどなく、1965年に世帯数285 世帯、人口1,049人であったものが、今では、87世帯、132人にまで減少している。その唯一の産業である漁業も、魚島漁業の特徴である「少量多魚種」で、まとまった数量が必要な大型店との契約や大きさをそろえての市場への出荷は難しく、離島ゆえの輸送代にも苦しんでいた。そんな中、若手漁師が現状を打破する為に一念発起。触発されて、昭和37年に結成され3人しかいなかった漁協の女性部にも少しずつ人が参加するようになり、8人体制へ。魚島の存亡がかかった取組が始まった。

販路拡大と知名度アップの2つの相乗効果

女性をターゲットにした、今まであまり食べたことのない、おしゃれでインパクトのある商品を開発しようというコンセプトを掲げ、2016年8 月に愛媛県が主催する商品開発ワークショップに参加したという。そこで、松山市の済美高校の生徒と交流することができ、大いに刺激を受け、魚島産の5 種類の貝を使った「魚島クラムチャウダー」や魚島で安定的に獲れる「魚島のたこ」をブランド化。「蛸としめじのアヒージョ」という新しいメニューを完成させた。このアヒージョは、経済産業省の日本が誇る優れた地方産品の500商材を経済産業省が世界に発信する「The Wonder 500」に選定される。その翌年、平均年齢17 歳と68 歳という年齢差をものともせず、「時代をつくるのは女性と女子高生だ」という団結心のもと、済美高校の生徒たちたちと新たな加工品の共同開発をスタートさせた。その後、試行錯誤を繰り返し、「魚島梅たころっけ」を開発。地元の祭りや百貨店などでも販売。メディアにも取り上げられ、知名度アップにもつながった。

弱みを強みに変えた流通

前述の通り、魚島漁業の特徴として「少量多魚種」であり、大型店などへの安定供給は難しかった。しかし、年間契約(一船買い)の実施、産地との直接取引、また大型回転寿司チェーン自身が天然魚専用加工センターを建設することで、鮮度管理や安定供給などの課題を一つ一つクリアしたという。仲買人を通さず、定置網で獲れたタイ、ハマチなどを漁が終わればすぐ活け締めにし、買手に電話で連絡、その後漁港から加工センターへ運ばれていく。市場で魚価が変動しても安定した収入を見込め、エイやボラなど売り物にならなかった魚も販売対象になっている。漁業者の収入向上へ直結した。

岩城生名の貝殻増殖礁と観光の取組

岩城生名地区では、以前から海の環境保全活動を進めており、藻場の面積や母藻の設置によるアマモ場やガラモ場の現存状況を定期的に把握。海域全体の藻場の保全・再生活動に力を注いだ。また、2008年度からJFシェルナースを活用し、キジハタの種苗放流と併用するだけでなく、他のJFシェルナースの先進地域への視察や、漁場調査なども行うことで意欲的に資源保護に取り組んでいる。
また、同地区では、タイの養殖体験ができる。迫力ある餌やり体験に加えて自分ですくった魚をさばいて刺し身にしたり、調理して食べることもでき、観光コンテンツにも力を入れている。

未来へつなぐ弓削の水産業

愛媛県屈指のノリの生産地である弓削地区。地元の産業を理解してもらうべく、小学生を対象にノリの加工場の見学などを行っている。中学校では「お魚ママさん教室」と題し、生徒たちが魚食に関心をもち、自らが料理できるようになることを目標に実施されている料理教室がある。講師のお魚ママさんがタイやアジのさばき方を説明しながら実演。魚食普及や魚離れを防ぐ活動を行っている。(写真1、2枚目)
また、今から約25年ほど前に、愛媛県へ帰省する人たちにふるさとの魚を味わってもらおうと、当時の弓削漁業協同組合青年部が音頭をとって始めた「弓削漁協おさかな朝市」。この朝市で出される魚は、漁船を会場横の岸壁に横づけし、その場でトロ箱に移して販売するので、鮮度は抜群。漁師が市場に出荷するのと同程度の値段で販売される。イベント当日、販売開始の30 分ほど前から行列が出来始め、販売が開始されると1時間ほどで売り切れてしまうという人気ぶりである。(写真3枚目)
各地域の特色ある取組が漁業や地域の発展に寄与するとともに、未来の水産業の担い手を生み出していくことを期待したい。

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