浜プランの取組地区数

5 5 4 地区
※2023年3月末時点

田尻漁業協同組合

田尻地区地域水産業再生委員会

~30年前から「海業」に取り組み、浜のにぎわいを創出~

埋め立てによる漁獲量減少を観光漁業で盛り上げる

小型漁船漁業を中心とするJF田尻は、沿岸漁業への依存度が高かった。このため、関西国際空港建設の際に埋め立てなどの影響を受け、漁獲量は大幅に減少。これにより田尻地区は、漁港を活用した経済活動に舵を切った。約30年にわたって日曜朝市や観光漁業を展開してきた田尻地区地域水産業再生委員会の取組をご紹介!

目次

埋め立てによる漁獲量減少と向き合う

関西国際空港の対岸にある田尻漁港。そこで刺し網を中心とした沿岸漁業を営んでいたJF田尻だが、1987年には関西国際空港建設による埋め立ての影響を受け、漁獲量は1/3にまで減少。これをきっかけに「漁港」を活用し、漁業者・JFの所得向上を回るべく経済事業の改革に舵を切った。

「お客様」と向き合う観光漁業へ

1993年に行われた田尻町の町政40周年記念行事での、ナマコなどの加工品の直売をきっかけに、本格的に直売事業を開始した。1994年には、現在も続く日曜朝市を開始。営業日時は、毎週日曜日7時~12時まで、漁業者の直売と商人店舗の協働により、40店舗以上が出店し、販売商品は鮮魚や青果、お惣菜など多岐にわたる。年間12~13万人が来場し、大盛況となっている。また、町のイベントともコラボレーションし、日曜朝市をきっかけに、昼市や町中を売り場にするイベント広がりを見せるなど、相乗効果も現れている。

都市型漁業での「海業」の推進

日曜朝市に来場したお客様から、漁業体験をしてみたいとのニーズがあり、実施したところ好評だったことから、漁業体験事業の推進を行った。4月~11月まで開催され、刺し網漁やカゴ漁の体験、関西国際空港へ離発着する飛行機を漁船から見上げる大迫力のクルージングが人気だ。獲った漁獲物は、漁港内のバーベキュー場で食べることが出来る。地域の小学校の校外学習をはじめ観光客のアクティビティとしても頻繁に利用されている。また、海鮮バーベキューコーナーは、2018年にリニューアルし、荒天時や冬季においても利用できるようになっており、営業期間外である12月~3月は、カキ小屋として営業している。
また、海上釣り堀事業の拡大を図っており、当初はしけの時に漁業体験に替わる場所として行われていたが、現在は一般客で大きなにぎわいを見せている。

新しい漁業の形をつくる

ヨットやモーターボート、水上バイクを受け入れられるマリーナを併設。これによって、漁港利用者の管理を行え、問題を未然防止している。これらの複合的な取組によって、年間13万人を漁港に集客している。田尻地区地域水産業再生委員会の取組は、町の基幹産業となっており、地域の発展にも大きく貢献している。
観光客の誘致や漁業体験など30年前から海業に取り組み、「サカナ」相手から「ヒト」も相手に、時代に合わせて柔軟に変化してきた田尻地区地域水産業再生委員会の取組に今後も注目したい。

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