浜プランの取組地区数

5 8 8 地区
※2024年3月末時点

伊曽島漁業協同組合

伊曽島地域水産業再生委員会

気候変動による不作を乗り越えて
品質向上へ創意工夫し、黒ノリ養殖の発展をけん引

県内有数の黒ノリ養殖の産地である伊曽島地区では、2018年度の気候変動の影響により大不作に。漁業者、研究機関、行政機関が連携し、漁場環境の変化に対応した養殖技術の確立や、アサクサノリの養殖の復活とブランド化を実現。気候変動に対応した黒ノリの生産体制を構築し生産性や付加価値向上に努めた、伊曽島地域水産業再生委員会の取組をご紹介!

目次

気候変動に対応した新品種の導入へ

伊曽島地区は、三重県の黒ノリ養殖発祥の地と言われ、現在も県内有数の黒ノリの産地だ。近年は生長途中の黒ノリ葉体の流出被害が頻発するなど、2011年以降、秋芽網による年内生産がほぼできず、収穫量は減少傾向であった。加えて、2018年度の気候変動の影響による大不作により甚大な被害を受けたことから、高水温や低比重などに耐性を持つ新品種の生産手法を確立する必要性が高まった。環境変化に対応できる新品種の導入やICTブイを活用した漁場における水温等のリアルタイム監視、囲い網による魚類の食害防止対策などの各種課題解決に取り組み、黒ノリの秋芽生産を10年ぶりに復活させた。

アサクサノリ養殖の復活とブランド化の実現

アサクサノリはかつての黒ノリ養殖の中心品種であった。後発のスサビノリと比べて食味に優れる反面、海況の変化に弱く病気に罹りやすいなどの理由から、全国的にはほとんど養殖されていない。同地区では2013年度からアサクサノリの養殖に取り組んできており、県水産研究機関が県内の自主株を保存していたことから、養殖業者と研究機関など関係者が連携し、安定的な生産とブランド化に挑戦。所定のDNA検査や食味検査など厳格なブランドルールを策定したことに加え、生産技術の確立に向けて養殖経験の蓄積を進めた結果、「伊勢あさくさ海苔」としてブランド化を実現した。

県全域の黒ノリ養殖をけん引

伊曽島地区で生産実績のなかった黒バラノリの共同加工施設をJFが整備し、ノリ養殖業者と共同で生産を開始した。黒バラノリの生産は、初期投資や製造コストが板ノリに比べて低いことから、生産コストの削減や労働力の集約を図ることができた。河川流量や環境変化の影響を受けやすい漁場でありながら、品質向上に向けた創意工夫に努め、安定的な生産を実現した。さらに地先の漁場環境の理解を深め、課題に対し関係者間で連携しながら積極的に対応し、生産性と品質の向上を両立させた。

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